インクジェット技術がプリンタ以外の用途に広がり始めている。回路基板の配線,液晶パネルのカラー・フィルタ,有機EL素子,面発光レーザー用マイクロレンズ,有機TFT素子などの製造工程である。

 インクジェット技術とは,2~20pl(ピコ・リットル)ほどと微量な液体をノズルから吐出し,線や点などのパターンを紙や基板の上に直接描画する技術である。プリンタでは,顔料を液体に分散させたインクを紙の上に吐出し,文字や図形などを描く。

 この技術を回路基板やフラットパネル・ディスプレイ(FPD)の製造工程に導入することで,少ない工程数で生産することが期待できる。さらに投資コスト削減の効果もある。従来の微細配線や表示素子は,真空成膜装置とフォト・リソグラフィ装置を使ってパターン形成することが多い。これをインクジェットに換えると,常圧雰囲気で使える比較的安価な装置で済む。