terminal voltage

 2次電池の終止電圧には「充電終止電圧」と「放電終止電圧」の2種類がある。前者は,安全に充電できる充電電圧の最高値である。後者は,同じく安全に放電できる放電電圧の最低値のことである。

 充電終止電圧を上回る電圧で充電した状態は「過充電」,放電終止電圧を下回る電圧まで放電した状態は「過放電」と呼ばれ,いずれも2次電池の性能を劣化させる原因となる。

 特に,過充電のLiイオン2次電池を高温にさらすと,破裂や発火の危険性があるので注意が必要となる。現在のLiイオン2次電池には,一般的に,過充電や過放電を防ぐための安全回路を組み込んである。

 2004年~2005年にかけて,電極材料を変更して放電容量を高めた新型電池が登場したが,これらの電池は放電終止電圧が従来に比べて低いという特徴がある。今までは放電終止電圧が3.0V~3.3Vだったのに対し,新型電池は2.5V~2.7Vほどである。

 このため,機器側が従来と同じように3.0V~3.3Vで放電を止めてしまうと,その電池が持っている電流容量を出し切れなくなる。機器メーカーは,2.5V~2.7Vでも動作できるよう機器の設計を変更する必要に迫られている。


放電終止電圧を3V以下に設定
松下電池工業が,ノート・パソコン向け2次電池(18650サイズ)で想定する放電終止電圧の今後の推移である。2006年にはこれまでの約3.0Vから,2.75V~2.5Vまで下げる。これによって,出力する電流容量の増加を図る。さらに2007年には2.5V~2.0V程度まで放電終止電圧を下げることを検討している。(図:松下電池工業の資料を基に日経エレクトロニクス誌が作成)