inter-symbol interference

 隣り合うシンボル同士が干渉し合うことで波形が歪む現象。ISI(inter-symbol interference)と表記することもある。例えば,先に送った信号とその直後に送った波形が干渉すると,元の信号を判別するのが難しくなる。信号周波数が高速になるほどシンボル間干渉の影響が大きくなる。

 回路技術を使うとシンボル間干渉の影響を低減できる。例えば,前後する2つのシンボル間干渉をあらかじめ見込んで送信回路で送信波形を意図的に変える。これをプリエンファシスと呼ぶ。プリエンファシスを施すことで受信端では所望の波形が得られる。ただし信号周波数が5GHzを超えるとアイ・パターンがつぶれて,プリエンフェシスを使っても受信が難しくなるとされている。

 このほか,シンボル間干渉を許容する伝送方式としてデュオバイナリ伝送(『日経ボード情報』,2005年秋号,p.24参照)という技術がある。光通信の分野で広く応用されてきた技術で,最近になって基板設計でも注目を集めている。NECなどが低誘電損失のFR-4基板を使って75cmの伝送距離を12.5Gビット/秒でデータ伝送することに成功している。

 


シンボル間干渉を防ぐ
波形等化技術を使わない場合,伝送損失により受信波形が歪む。この歪みによって前後のビットに影響 し,シンボル間干渉が生じる。シンボル間干渉は信号の高速化の阻害要因となるため,プリエンファシス を施す。波形を変える個所をタップといい,タップ数が多いほど受信波形のシンボル間干渉は少なくなる