V-by-One

 ザインエレクトロニクスが開発した画像伝送用の高速シリアル・インタフェース技術。ボード上の信号周波数は約1GHzと速い。こうした高速信号を1対の差動信号線のみで5m~10mと比較的長い距離伝送できるという特徴を持つ。従来のCMOS/TTL方式のパラレル・インタフェースに比べて,ケーブルの本数を約1/10に削減できる。これにより,ケーブルやコネクタのコストを減らせる。まずは,こうした特徴を生かせる,車載カメラと運転席側パネルの間の情報伝送,プリンタ複合機などのOA機器における基板間の情報伝送,デジタル・ビデオ・カメラにおける画像処理プロセサと表示パネルの間の情報伝送などに向ける。

 V-by-Oneは,クロックとデータを多重して伝送する方式を採る。この点のみに着目すると,ここにきてパソコンなどに搭載が始まった「PCI Express」や,ハード・ディスク装置(HDD)向けに導入が進みつつある「Serial ATA」などの既存のシリアル・インタフェースと変わらない。

 ただし,PCI ExpressやSerial ATAに比べて,「V-by-Oneの方が安価に画像伝送インタフェースを構築でき,かつ使いやすい」(ザインエレクトロニクス)という。理由は大きく3つある。第1に,PCI Expressなどの既存のシリアル伝送に比べて水晶発振器(リファレンス・クロック)のコストを抑制できること。第2に,送受信LSIの論理層を不要にできること。PCI Expressでは論理層として数十万ゲート以上の回路規模を要していた。第3に,動作中でも画像の解像度に応じた任意の転送速度に容易に変更できること。PCI Expressでは,転送速度が固定であるため,解像度の変更に対応するためには論理層に工夫を加える必要があった。

 ザインエレクトロニクスは,V-by-Oneに準拠した送信/受信LSI「THCV213/214」のサンプル出荷を2005年第3四半期,量産出荷を2005年第4四半期から開始する。同LSIの主な仕様を示す。1対の差動信号線で18ビットのデータと4ビットの制御信号を送信する。入力クロック周波数は5MHz~40MHzである。電源電圧が+3.3VのCMOS技術で製造する。56ピンのTSSOPに封止する。


ザインエレクトロニクスが披露したV-by-Oneを用いた画像伝送の実演