次世代光ディスクの規格である「Blu-ray Disc」と「HD DVD」の光透過層(記録面を覆う透明な樹脂層)の厚さを示す。Blu-ray Disc規格とHD DVD規格のディスク構造の違いを示すために象徴的に使われることが多い。

 Blu-ray Discは厚さ1.1mmのディスク基板上に記録層を設け,0.1mmの透明なカバー層で覆う構造(0.1mmカバー層方式)を採る。記録容量をDVDの約5倍に高めるために,光源波長405nmの青紫色レーザと開口数(NA)が0.85の対物レンズを組み合わせて記録再生に使うレーザのビーム・スポットの面積をDVDの1/5程度に絞った。こうしてBlu-ray Disc媒体の記録容量を片面単層で25Gバイト前後に高めた。対物レンズのNAを高めただけでは,その3乗に反比例してディスクとレーザ光の光軸の傾きに許される角度誤差(チルト・マージン)が狭くなってしまう。そこで,記録面を覆うカバー層を0.1mmまで薄くして,DVD並みのチルト・マージンを確保した。

 HD DVDのディスク構造は現行DVDと同じ。厚さ0.6mmのディスク基板を2枚張り合わせる「0.6mm基板張り合わせ方式」を採る。ディスク構造をDVDと同じにしたことで量産当初からDVDとほぼ同等の製造コストを狙える。ディスクの製造設備はDVDの量産に利用できる利点もある。光源波長をDVDの650nmから405nmに短波長化し,対物レンズのNAを0.6から0.65に高めてビーム・スポットの面積をDVDの約1/3に縮小した。さらにPRML(partial response maximum likelihood)と呼ぶ,微細な記録マークを読み取る信号処理技術などを組み合わせて大容量化を実現した。片面単層の記録容量は再生専用媒体の場合で15Gバイトである。前述のチルト・マージンはDVDの半分に減るが,これはチルト・サーボと呼ぶ機構を導入して補正する。

Blu-ray DiscとHD DVDの光学系
図 Blu-ray DiscとHD DVDの光学系
2004年9月27日号より抜粋)