GNU General Public License

 GPLは,LinuxやMySQLをはじめとするフリー・ソフトウエアが採用するライセンス方式。ここで,フリー・ソフトウエアの「フリー」は「無料」という意味ではなく,オブジェクト・コードの保有者がソース・コードに自由にアクセスし複写できるという意味である。GPLは,ソフトウエアが「フリー」であり続ける仕組みをコードに植え付けるためのライセンス形式といえる。

 正式名称は「GNU General Public License」で,略して「GNU GPL」,あるいはGPLと呼ぶ。米国の非営利団体Free Software Foundation(FSF)がライセンスを規定・管理している。GPLに基づくソフトウエアは,オブジェクト・コードの保有者に対してソース・コードを公開する義務がある。公開したコードを使い,オブジェクト・コードの保有者が自由に利用,複製,改変,頒布を行える。

 GPLが他のライセンス方式と異なる最大の特徴は,GPLソフトウエアを改変して頒布した場合,改変したソフトウエアにもGPLのルールが適用されることだ。このため,改変したソフトウエアのソース・コードを使用者に公開する義務が生じる。例えば,デジタル家電にGPLソフトウエアを流用している場合,製品を売る行為が頒布に当たると解釈できるため,そのソース・コードは公開の対象となる。

 GPLのルールは,GPLソフトウエアとリンクしたソフトウエアにも用される。例えば,開発したソフトウエアをGPLソフトウエアとリンクさせた場合,ソフトウエアのライセンス形式はGPLになってしまう。そのため独自に開発したソフトウエアであっても,そのソース・コードは開示しなければならない。

 このような開示義務は,商用ソフトウエアがGPLソフトウエアを採用しにくい原因となり得る。この点でライセンス条件を緩めたのが,GPLから派生したライセンス方式「LGPL(lesser general public license)」である。リンク元のソフトウエアがLGPLソフトウエアである場合,ソース・コードを公開する義務を負わない。

 現在一般に使われているGPLのバージョンは「GPL Version2」。FSFは2006年1月16日に,新版に当たる「GPL Version3」の草案を公開し,正式版の策定作業を開始した。正式版の発行は遅くとも2007年3月を予定する。

<更新情報>以前の記事では,ソースコードの公開対象について不正確な表現がありましたので,訂正させていただきました。記事は既に更新済みです。