NE用語
量子ドット
リョウシドット
電子を微小な空間に閉じ込めるために形成した,人工の導電性結晶のこと。材質や形状は様々だが,寸法は一般に数nm〜数十nmほどである。量子ドットに閉じ込めた電子は,取り得るエネルギーの準位が離散的(とびとび)になるのが特徴である。これは,微小な領域に電子を閉じ込めると,電子の波が離散的な波長の定在波としてしか存在できなくなるためだ。このようにエネルギーが離散化する原理は,原子中の電子が原子核の周囲に閉じ込められ,エネルギーが離散化する原理と良く似ている。このことから,量子ドットは「人工原子」とも呼ばれる。
量子ドットが持つ離散的なエネルギー準位を利用して,主に光デバイスへの応用が提案されている。具体的には,赤外光検出器や通信用レーザ,量子暗号向けの単一光子光源などである。一般的な光デバイスは,原子核の周りをめぐる電子のエネルギー準位の差を利用して光子を放出・吸収する。これに対して量子ドットは,微小な結晶中に閉じ込めた電子のエネルギー準位の差を利用する。特に量子ドットの場合は,結晶の大きさを変える事で,放出・吸収する光子のエネルギー値を制御できる。
これに加え量子ドットは,量子コンピュータの基本素子「量子ビット」への応用が期待される。量子ドットに閉じ込めた電子のエネルギー準位やスピンの向きといった量子情報に,"1"または"0"の値を割り振る。量子ドットのような固体素子であれば,液体分子や気体分子を量子ビットに見立てた場合と比べ,電気的な制御がしやすく,かつ集積化が容易となる。
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