LSI内部の配線方法のこと。斜め45度配線とも呼ぶ。LSIの配線をチップのx軸,y軸方向の4方向だけでなく,斜め45度方向を加えた合計8方向に配線する(図1)。x軸,y軸方向に配線する直行配線に比べて配線長を短くすることができる。チップ面積の縮小や動作周波数の向上,消費電力の削減が可能となる。また,斜め45度配線は2点間を同一の配線層上で接続できる可能性が従来の直交配線に比べて高いため,ビアの数を削減することも可能である。ビアの数を減らせれば,製造歩留まりや動作速度の向上が同時に期待できる。

 プリント配線基板の信号配線のレイアウトを意味することもある。内部のガラスクロスに起因する信号配線の特性インピーダンスのバラつきを小さくできるという特徴を持つ。プリント配線基板に用いられるガラスエポキシ樹脂は,ガラスクロスをエポキシ樹脂で固めたもので構成する。ガラスクロスはプリント配線基板内において,x軸,y軸方向(直交方向)に沿って,束状に存在する(図2)。従来,ガラスクロスの束の寸法は信号配線に比べて大きいため,ガラスクロスの密度の違いが,特性インピーダンスのバラつきを引き起こすという課題があった。

図1 直交配線と斜め45度配線
図1 直交配線と斜め45度配線
従来の4方向のみの直交配線では,配線層によりx軸,y軸方向を使い分け,一部最適化のためにそれ以外の使い方をする「プリファード・ディレクション」と呼ぶ手法を使って配線を行ってきた(a)。つまり,特定の配線層ではほとんどの配線がx軸方向もしくはy軸方向を向いていた。これに対して,プリファード・ディレクションを用いない斜め45度配線では任意の8方向に配線することが可能になり,配線の自由度が大幅に増す(b)。(図:東芝,米Simplex Solutions, Inc.) (日経エレクトロニクス2001年8月27日号より抜粋)

図2 一般的なプリント配線基板の断面図
図2 一般的なプリント配線基板の断面図
(日経エレクトロニクス2005年10月24日号より抜粋)