終止電圧には「充電終止電圧」と「放電終止電圧」の2種類がある。前者は,安全に充電を行える充電電圧の最高値。後者は,同じく安全に放電を行える放電電圧の最低値のことである。

 充電終止電圧を上回る電圧で充電した状態は「過充電」,放電終止電圧を下回る電圧まで放電した状態は「過放電」と呼ばれ,いずれも2次電池の性能を劣化させる原因となる。特に,過充電のLiイオン2次電池を高温にさらすと,破裂や発火の危険性あるので注意が必要となる。現在のLiイオン2次電池は一般的に,過充電や過放電を防ぐための安全回路を組み込んでいる。

 2004年~2005年にかけて,電極材料を変更して放電容量を高めた新型電池が登場したが,これらの電池は放電終止電圧が従来より低いという特徴がある。今までは放電終止電圧が3.3V~3.0Vだったのに対し,新型電池は2.7V~2.5Vほどになる。このため,機器側が従来と同じように3.3V~3.0Vで放電を止めてしまうと,その電池が持っている電流容量を出し切れなくなる。機器メーカーは,2.7V~2.5Vでも動作できるよう機器の設計を変更する必要に迫られている。

図 松下電池工業が,ノート・パソコン向け2次電池(18650サイズ)で想定する放電終止電圧の今後の推移
図 松下電池工業が,ノート・パソコン向け2次電池(18650サイズ)で想定する放電終止電圧の今後の推移
(日経エレクトロニクス2005年10月24日号より抜粋)