optically compensated birefringence

 液晶パネルの広視野角技術の1つ。応答速度が5ms程度と速いのが最大の特徴である。表示時は,液晶分子が「ベンド配向」と呼ぶ弓形の状態に配向するのが特長で,電圧を印加すると高速に動作する。ここにきて,初期の分子配列である「スプレイ配向」からベンド配向への転移時間が長いという課題が解決されたことで,実用化が始まった。

 ただし,駆動電圧が高くドライバICのコストが掛かること,液晶分子の配向制御が難しく工夫が必要なこと,特殊な光学フィルムや液晶材料を用いるため全体のコストが現時点でほかの液晶パネルより高くなること,などの課題があり,実用化例はまだ少ない。

 応答速度が速いため,テレビ・メーカーは様々な工夫を施すことが可能になる。例えば,バックライトを点滅させる疑似インパルス型表示や,1フレームの表示期間中に黒い画像を一瞬出力させる黒画像挿入と組み合わせることで,液晶パネルに特有の残像感を抑えることが比較的容易である。

 このほか,パネルの表示色数を増やすことにも有効である。多ビット化すると輝度の量子化ステップ幅は狭くなるので,1フレーム期間という限られた時間内に液晶の配向を精度よく制御することが必須になる。OCBは高速に所望の配向に液晶を動かせるため,多階調化しやすい。

図 液晶テレビに向くおもな液晶技術
図 液晶テレビに向くおもな液晶技術 (日経エレクトロニクス1999年10月25日号より抜粋)