特許や著作権などの知的財産権を強力に保護し,広く活用することで「知的財産立国」を実現し,産業競争力の再生を目指すことをうたったもの。2002年7月3日に政府が発表した。元特許庁長官の荒井寿光氏やキヤノン代表取締役社長の御手洗冨士夫氏などで構成する「知的財産戦略会議」が中心となって策定したもので,特許や著作権などの知的財産権を保護し,広く活用することで「知的財産立国」を標榜した。

 大綱の中で,知的財産立国を実現するためのポイントとして挙げたのが「知的創造サイクル」の確立である。知財を創造する仕組みを整え,生み出した知財を保護し,それを活用することで得た富を新たな知財を創造するために充てるという,いわゆる正の循環をつくり出すことだ。そしてこの循環をどんどん加速化させ,かつ拡大していく。こうした流れを形成するための具体的な方策として,大学での知財創出の推進,特許審査の迅速化や海外模倣品への対応の強化,企業での戦略的な知財の活用,知財関連人材の養成など,50個程度の改革を盛り込んだ。大綱の策定後,企業における職務発明の規定の変更や国立大学の独立行政法人化,産学連携の活発化などが進んでいる。