送受信する無線の中心周波数や帯域幅を自在に切り替える無線回路のコンセプト。リコンフィギュラブルRFを使えば,場面に応じて複数の無線サービスを切り替えて利用する機器を1組の無線回路で実現できる。

 1台の機器でW-CDMAといった携帯電話網との接続や,モバイルWiMAX,無線LANなど複数の無線サービスを利用できるようにするためには,現在異なるサービス別に異なるサービス別に無線回路を用意している。リコンフィギュラブルRFチップが登場すれば,回路の大幅な簡略化が可能になる。

 機器メーカーは,このチップと多モード対応のベースバンド処理LSIを用意することで,マルチバンド/マルチモード端末を開発できるという利点もある(図)。さらに,利用する周波数を自在に変えられることから,同一のプラットフォームの端末を世界の市場で販売できる。これまでは仕向け地で利用する周波数帯に合わせて何種類ものバリエーションを用意する必要があったが,それを1つのプラットフォームに集約できるので,開発コストの削減が可能になる。

 通信事業者にとっても大きな利点がある。それは,端末の発売後に,送受信機能の特性を遠隔で変更できることである。ソフトウエアの変更によって送受信するサービスを変えられるので,通信事業者が新しいサービスを市場に導入する際に,端末を速やかに新サービスに対応させることも可能になる。

図 マルチバンド/マルチモード無線端末のメリット
図 マルチバンド/マルチモード無線端末のメリット(日経エレクトロニクス2006年1月30日号より抜粋)