非Si系の半導体材料である「Cu(In1-x,Gax)Se2(銅-インジウム-ガリウム-セレン)」系の材料を使った太陽電池。

 IGS太陽電池の大きな特徴は2つある。1つは,発電層の厚さを数μmと薄くできること。これにより,材料コストを低く抑えることができるほか,製造時の投入エネルギーも節約できる。発電層を薄くできるのは,CIGS系材料の光吸収率が極めて高いことに加え,発電層を蒸着やスパッタなどの積層法で形成できるためだ。

 もう1つの特徴は,理論的な発電効率が25~30%と高く,単結晶Siを上回ることである。CIGS系半導体には,厚み方向で組成を変えることで,吸収波長域を制御できる性質がある。組成を工夫して吸収波長域を広げることで,発電効率を高めることができる。

 このほかCIGS太陽電池は,Si太陽電池と比べて光や放射線により劣化しにくいとされる。製品寿命を伸ばせるほか,宇宙での利用にも適している。

図 ホンダエンジニアリングが製造したCIGS太陽電池。モジュール変換効率は約12%
図 ホンダエンジニアリングが製造したCIGS太陽電池。モジュール変換効率は約12% (日経エレクトロニクス2006年1月16日号より抜粋)