液晶材料の1つ。光を透過するか反射するかの2つの状態を,電力を加えずに維持することができる「双安定」という特徴を持つ。反射時には,ある特定の波長の光のみを選択的に反射するという性質を持つ。最近では電子ペーパーの表示技術の1種として注目を集めている。

 コレステリック液晶は棒状の分子が幾重にも重なる層状の構造を持っている。層内ではそれぞれの分子が一定方向に配列しており,互いの層は分子の配列方向がらせん状になるように集積している。通常は基板に対して垂直方向をらせん軸としており,一定周期のらせん構造を持つ。らせんの周期と波長が等しく,かつらせんの巻きと同じ向きの円偏光を反射する。液晶上下の電極に印加する電圧を調整してらせん状の分子を横向きにすれば,全ての光を透過させるようになる。

 コレステリック液晶の材料は,層状の構造を持たずに平行配列しているネマチック液晶に,液晶分子にねじれを付与するカイラル剤と呼ばれる添加剤を加え,旋光性を持たせることで作製する。コレステロールに分子構造が似ていることから,コレステリック液晶と呼ばれる。カイラルネマチック液晶(CN液晶)と呼ぶこともある。

 温度により分子の長さが変わり,反射する光の波長が変わるという特長から液晶温度計として利用されたり,見る方向により反射光の色が変わって見えることから玉虫色の塗料として使われたりすることもある。

図 2006年~2007年に実用段階に入るコレステリック液晶型の電子ペーパーの例
図 2006年~2007年に実用段階に入るコレステリック液晶型の電子ペーパーの例 (日経エレクトロニクス2006年1月2日号より抜粋)