吸音材
キュウオンザイ
家電製品や自動車,住居などで発生する騒音を減らす材料。発泡体や不織布の構造を採る吸音材は,内部に設けた空隙や空隙を覆う薄膜で音のエネルギーをとらえ,熱エネルギーに変換することで騒音を減らす。家電製品に使われている吸音材には,熱硬化性発泡体と熱可塑性不織布,熱可塑性発泡体と大きく3種類ある(図)。熱硬化性発泡体は,いわゆるウレタンだ。これに対し家電製品に使うのがまれな吸音材として,羊毛を用いたフェルトや,ガラス繊維を使ったグラス・ウールがある。家電製品に使う上で前者はホコリになりやすいこと,後者は肌がかゆくなりやすいことが課題となっている。
家電製品の場合,騒音は一般に固体伝播音と空気伝播音が複合して生じている。例えばDVDレコーダでは,ハード・ディスク装置や光ディスク装置のモータの振動が,周辺の部材を共振させて固体伝播音や空気伝播音を生み出す。これらの騒音を減らすには,根本原因であるモータの振動を減らすことが最も有効だが,製作精度の高いモータに変えたり,モータを筐体に取り付ける方法を見直したりといった大きな設計変更が必要になってしまう。一般に最も手軽な方法は,吸音材を追加することである。騒音の発生個所の近くに張るだけで効果を得られる。
吸音材の吸音性能に関する最も一般的な指標として垂直入射吸音率がある。吸音材に対して垂直に音を当てたときに,音が跳ね返る度合いを測る。この値が1(100%)のとき,すべての音を吸収したことを表す。垂直入射吸音率の具体的な測定方法は,JISやISO,ASTMが定めている。また吸音材の丈夫さを示す指標の1つとして引張強度がある。吸音材の多くは,この値が紫外線や熱を受けると低下する。最悪の場合は吸音材がバラバラになって機能しなくなる。

図 吸音材の分類と特性
図中の項目にある「多機能」とは,音を吸収するだけでなく,振動を抑えたり,空気の流れを遮ったりすることで騒音を減らす機能も備えた品種があることを示す。「成形性」は主に薄切り加工のしやすさを表す。図中の○×は一般的な傾向である。
(日経エレクトロニクス2006年1月2日号より抜粋)
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