polymer electrolyte fuel cell

 固体高分子型燃料電池の略称。電解質膜にフッ素系や炭化水素系などの高分子(ポリマ)を使うことからこう呼ばれる。反応温度を低くできるのが最大の利点だが,高温動作の他の方式に比べて効率が低いという欠点がある。

 PEFCには,燃料をそのまま用いる直接型PEFCと,ボロハイドライドなどの燃料からいったん水素を取り出して用いる改質型PEFCがある。このうち,小型化に向くのは改質器が不要な直接型PEFCとみられている。

 これに対して,小型化に限界はあるが高出力化に向くのが改質型PEFCである。デジタル・カメラやビデオ・カメラなどの比較的小型で高出力が必要な携帯機器に向けて開発が進んでいる。ただし,例えばボロハイドライドから水素を取り出して使う燃料電池の製品化は,しばらく先になりそうだ。航空機内への持ち込み解禁が早くても2009年以降となるためである。業務用で先行して実用化する可能性は高いが,一般販売は2009年以降になるだろう。メタノールやギ酸,液化ブタンなどの燃料は,2007年に航空機内への持ち込みが解禁になる。

表 実用化に向けて開発の進むPEFCの種類
出力密度は,150mW/cm2以上を◎,50mW/cm2以上150mW/cm2未満を○,50mW/cm2未満を△とした。安全性は,燃料が特に問題なく自由に持ち運べるものは◎,燃料の航空機への持ち込みをICAO(国際民間航空機関)が認めたものは○,ICAOが認めていないものは△とした。環境性は,植物由来の材料から製造が可能な燃料で,反応時の副生成物に問題がないものは◎,反応時の副生物に問題がないものは○,反応時の副生物に問題があるものは△とした。大きさとコストは,他の方式と比べた優劣を本誌が推定して◎,○,△で示した。
(日経エレクトロニクス2005年12月19日号より抜粋)
表 実用化に向けて開発の進むPEFCの種類