「明るい」「暗い」といった周囲の明るさを感知するセンサ。ディスプレイの輝度を人間が「ちょうどいい」と感じる程度に調整する機能や,人間が暗いと感じる所で光源を点灯したり,逆に明るいと感じるならば消灯したりする機能を機器に持たせることができる。照度センサの種類は,フォトトランジスタを使う品種,フォトダイオードを使う品種,フォトダイオードにアンプ回路を追加した品種の大きく3つがある(図1)。いずれも特性や製品価格などで一長一短がある。

 携帯電話機の消費電力の削減や,液晶テレビに表示する画像の画質を大幅に改善できる切り札になるととみられている。このほか車載機器でも,インスツルメンツ・パネルやカーナビ用ディスプレイの調光,ヘッドランプの点灯/消灯といった用途に向けて照度センサは引っ張りだこになりつつある。

 具体的には,以下のような用途に用いる。例えば携帯電話機メーカーの場合,照度センサを利用して電池の消費電力をできる限り節約し,連続通話時間や連続待ち受け時間,ゲームなどのアプリケーションを駆動できる時間を長くするといったことを狙う。昼間や明るい室内のように照度センサに照射される光量が多ければキーパッドのバックライトを消灯するとともに,液晶パネルのバックライトを最大輝度に上げる。逆に夜間の屋外など光量が少なくなればキーパッドのバックライトを点灯し,液晶パネルのバックライトは減光する。

 テレビ受像機メーカーの場合,照度センサの採用で画質の改善を狙う。液晶テレビの輝度は500cd/m2を超えるものもある。最大輝度を上げると明るい室内では画面がきれいに見えるようになるものの,暗い室内になるとそのしわ寄せが現れる。画面が明るすぎるために目が疲れる要因になるだけでなく,暗い色が明るくなる「黒色が浮く」現象が顕著になり,コントラスト比が低下してしまう。特に大型液晶テレビはホーム・シアターのように部屋を暗くして視聴する機会が多く,この悪影響が出やすい。黒色が浮くのは,画面の輝度を高めるために明るさを増したバックライトの光が,画面に漏れ出してしまうからだ。そこで,照度センサを使ってユーザーが液晶テレビを視聴する環境の明るさを検知し,その明るさに応じてバックライトの輝度を調節することで黒色の表現力を高められる。

主な照度センサの種類
図 主な照度センサの種類
(日経エレクトロニクス2004年10月11日号より抜粋)