NHK放送技術研究所が開発を進める走査線が4000本クラス(画素数にして3200万クラス)の映像システム。具体的には,縦4320×横7680画素の映像システムで,現在デジタル放送で提供されているHDTV(1080×1920画素,60フィールド/秒)と比較すると,縦横ともに画素数は4倍になる。また単位時間当たりの画面のコマ数は同じだが,映像のプログレシッブ化が図られている2005年日本国際博覧会(愛・地球博)で,一般公開される。

 スーパーハイビジョンの特徴は,水平方向の視野角がHDTVの約30度に対し,100度程度と広がること(図)。視野角が広がると,映像空間と現実空間の境目が認識できなくなる。HDTV映像は「きれい」だが,壁などの現実空間に浮かぶ「鑑賞の対象物」にすぎない。視野角の拡大によって,現実空間が視界から消え,映像に没入できるようになる。

 ただし,現在は走査線4000本クラスに対応する撮像素子が存在しない。そこで,走査線数が2000本クラスのデジタル・シネマ向けに開発が進む素子を使ったカメラで,映像の撮影が行われてきた。こうしたカメラでは,R(赤)とB(青)がそれぞれ1枚,G(緑)が2枚の撮像素子を利用する。このうちGを撮像する素子の1枚を,垂直/水平それぞれ半画素ずらした位置に置き,画素数を垂直/水平ともに倍増させた。

視野角は100度に
図 視野角は100度に
2003年11月24日号より抜粋)