半導体のpn接合に光を当てると起電力が生じる効果を利用した光電変換素子。主にSiを材料として用いる。化学電池のように電力を蓄える機能はない。

 p型半導体とn型半導体に光が当たると,電子と正孔の対が生じる。発生した電子はn型半導体へ,正孔はp型半導体へ集まる。このため,n型半導体とp型半導体の間に起電力が生じ,両方の電極間に負荷をつなげば,電子はn型半導体からp型半導体に,正孔はp型半導体からn型半導体の方向に流れ,電力を取り出せる。

 品種としては,多結晶Si太陽電池,単結晶Si太陽電池,薄膜Si太陽電池などがある。このうち現在,住宅用発電システム向けで主流となっているのが多結晶Si太陽電池である。純度の低いSi材料を使って多結晶Siのインゴットを作り,スライスして基板にする。モジュール発電効率は現状で15%前後。太陽電池メーカーでは,2010年には16%に,2030年には22%にまで高めることを計画している。これに対して単結晶Si太陽電池は,純度が非常に高いSiを材料とする。大型の単結晶をスライスして用いており,一般に変換効率が高い。多結晶Si太陽電池と単結晶Si太陽電池は結晶系の太陽電池としてまとめられる。

 一方,薄膜Si太陽電池は結晶系の太陽電池に比べて製造コストを低減できる可能性があるため,次世代太陽電池として開発が進められている。アモルファス(非晶質)Siや結晶Siで薄膜を形成する。