IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)が策定中である移動体通信向けの無線規格の1つ。120km/hの移動時にもデータ通信が可能で,基地局当たりの最大伝送速度は上り・下りとも75Mビット/秒に達する。WiMAXが準拠する固定通信向け方式「IEEE802.16-2004」を拡張した規格であり,2005年9~10月にも第1版が完成するみられる。WiMAXも2007年~2008年にはIEEE802.16eに対応し,移動体向けに領域を広げるとみられる。

 近年,携帯電話事業者が次世代のデータ通信方式として,IEEE802.16eに熱い視線を向けている。KDDIが2005年7月に本格的な実証実験を始めるほか,米Sprint社と米Motorola,Inc.も2005年から2006年にかけて同技術の実証試験を行うという。YOZANは,2005年12月に無線LANを使ったIP携帯電話サービスを開始した後,IEEE802.16eが利用可能になった時点で,基地局をIEEE802.16e対応にする予定である。

表 KDDIが導入及び検討している通信方式の比較
(日経エレクトロニクス2005年7月18日号より抜粋) KDDIが導入及び検討している通信方式の比較