従来から主流のSn-Pb共晶はんだを代替して,Pbフリー化したはんだ。有力な候補には,Sn-Ag-Cu系やSn-Zn系の合金がある。

 採用で先行したのがSn-Ag-Cu系の合金である。接合強度が高いことを最も評価してのことである。接合強度の低いPbフリー・はんだを用いたために,製品出荷後にはんだ接合部がプリント配線基板からはがれてしまうといった問題が起こることは許されないからだ。ただし,Sn-Ag-Cu系の合金には課題もある。例えば溶融温度が高いことである。このため,耐熱性の低い部品の実装が課題となる。これに対しSn-Zn系の合金,「溶融温度が低い」「コストが低い」といった特徴を持つ。もともとは接続信頼性などの課題があったが,性能改善が図られたものの開発が進んでいる。

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代表的なPbフリー・はんだ

Sn-Ag-Cu系はSn-Zn系に比べ,接続信頼性が高い。Sn-Zn系はコストが低い,溶融温度が低いといったメリットがある。両者を比較した場合,コストと溶融温度は金属組成に依存するため,両者の差が縮まることはない。この点でSn-Zn系の優位性は揺るがない。一方,接続信頼性は現段階ではSn-Ag-Cu系に劣るものの,フラックスの改良などによりSn-Zn系の特性も徐々に高まっている。 (日経エレクトロニクス2002年9月9日号より抜粋)/p>