Business Intelligenceツールの略。DWH(データウエアハウス)などに格納された,大量の数値データを分析するのに使う。
データベースに関する高度な知識がなくても扱えるため,ERPやSCMなどの業務システムのデータを,担当者自身が分析するEUC(エンドユーザーコンピューティング)ツールとして注目されている。
IT化によって蓄積された大量のデータが活用されていない,帳票や報告書という定型データではユーザーの個別ニーズに対応しきれない,SCMなどでスピーディな業務判断が求められているといった課題がその背景だ。
BIツールを利用することで,情報システム部門に帳票データ作成を依頼しなくても,エンドユーザー自身が,独自の視点でデータを分析し,業務上の意思決定を迅速にこなせる。
BIツールの中核は「OLAP(Online Analytical Processing)」と呼ばれる分析機能。表計算ソフトでは処理できない大量のデータを,自分の見たい視点で多面的に集計,分析できるのが特徴だ。
データの項目をどんどん細分化していく「ドリルダウン」や評価軸を変更していく「スライス・アンド・ダイス」といった分析操作が,マウスのドラッグアンドドロップなどのインタラクティブな操作で簡単に実行できる。
以前は,BIはOLAPとほぼ同義語だったが,現在では,分析だけでなく,レポートの作成や配信機能を持つものが主流になっている。
ものづくりの現場では,SCMにおける受注量や在庫量,生産実績などの分析や,品質情報管理に用いられている。ニーズの高まりを受けて,ベンダーもコンサルティングパートナーとの連携や支援強化策を打ち出し,国内での導入増加への対応を強化してきている。
なお,OLAPはいくつかの種類があり,どのようなタイプを選ぶかは,用途やデータの規模に応じて検討する必要がある。
代表的なのは「キューブ」と呼ばれる専用の多次元分析用DBを参照するMOLAP(Multi‐Dimensional OLAP)と,リレーショナルデータベース(RDB)を参照するROLAP(Relational OLAP)の2種類。
MOLAPは,ERPのRDBやデータウエアハウスのデータを集約して,定期的にあらかじめキューブを作成する。分析処理のレスポンスが早いが,キューブ作成に時間がかかるため,リアルタイム性に制約がある。
一方,ROLAPは,ユーザーからの分析処理要求に応じて動的にSQLを発行して結果を返す。汎用のRDBを対象とするので検索範囲が広く,柔軟な分析が可能だが,処理速度がやや遅い。このほか,両者を組み合わせたハイブリッド型などもある。
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