従来,プリント回路基板(ボード)設計用のEDAツールといえば,論理・回路設計用の回路図エディタと,レイアウト・ツール程度しか使われていなかった。

 ところが,最近,ボードに搭載するLSIの大規模化・高速化や,ボードの実装密度の向上によって,ボード設計でも,各種の解析ツールなどを利用しなければならないケースが急増してきた。こうした解析ツールを使って,さまざまな特性を設計段階で検討しておかないと,試作ボードを何枚も起こすことになりかねない。

 ボードの特性解析用ツールとしては,クロストークや反射といった雑音や遅延時間などを解析する伝送線路シミュレータ,ボードから発生される電磁放射雑音を解析するEMI(electro magnetic interference)シミュレータ,さらにボード上の発熱や筐体内の熱分布を解析する熱解析ツールがある。

 こうした各種の特性は,レイアウト設計が完了してから行なえば,かなり正確に算出できる。しかし,そこで問題が発生すると,時間のかかるレイアウト設計をやり直したり,さらに上流の論理・回路設計を手直しする事態に陥る危険がある。各種の解析を上流で行なうための仕組みが必要になる。これが,ボード設計用のフロアプランナである(下図参照)。


(99. 9. 6更新)

このEDA用語辞典は,日経エレクトロニクス,1996年10月14日号,no.673に掲載した「EDAツール辞典(NEC著)」を改訂・増補したものです。