いまだに現役,老練アーキテクトが繰り出す次の一手とは
いまだに現役,老練アーキテクトが繰り出す次の一手とは
Dan Dobberpuhl氏を知っていますか。米Digital Equipment Corp.で「PDP-11」との互換性を備えた低消費電力のマイクロプロセサ「T11」や「MicroVAX」を手掛け,その後「Alpha」や「StrongARM」の開発責任者を務めた,知る人ぞ知るマイクロプロセサのベテラン・アーキテクトです。単位消費電力当たりの演算性能の高さで同業他社をあっと言わせたStrongARMを含む半導体事業をDECが米Intel Corp.に売却すると,Dobberpuhl氏は1998年に米SiByte, Inc.を創業し,低消費電力のMIPS系マイクロプロセサの設計事業に乗り出しました。当時,Dobberpuhl氏を取材した際に「若いエンジニアと一緒に,今でも自分で設計ツールを扱う」といっていたのを思い出します(関連記事)。まさに職人という言葉が当てはまる雰囲気でした。1GHz動作時に2.5WというCPUコアを開発し話題を集めたSiByte社は,2000年に米Broadcom Corp.が買収しました。
米国の起業家にとって,自分が創業した会社を他社に売却することは,株式公開と並ぶ大きな目標です。輝かしいキャリアを積んだベテラン・アーキテクトのDobberpuhl氏にとっては,SiByte社の売却がリタイヤのきっかけとなっても不思議はなかったでしょう。ところが同氏は,現役を退きませんでした。DEC時代から慣れ親しんだ土地であるシリコンバレーで,米P.A. Semi, Inc.と呼ぶスタートアップ企業のPresident & CEOに就いたのです。ホームページには会社の概要しか載っていません。ただし,Dobberpuhl氏の経歴や「High-end consumer portable」「Server blade」「Network infrastructure」といった分野を想定していることから考えて,低消費電力で高性能のマイクロプロセサで再び業界を驚かせようとしているとみて間違いでしょう。日本でも一部の研究開発者の間で,P.A. Semi社の動向が話題になっているようです。
JavaやXMLの浸透が象徴するように機器開発においてハードウエアの抽象化が進み,「どのマイクロプロセサを使ってもそれほど変わらないのではないか」と考える風潮が広がりつつあるのは事実です。それでも,Dobberpuhl氏が繰り出す次の一手に注目が集まるように,機器設計の要であるマイクロプロセサをめぐる新技術に対する期待が低下することはないでしょう。動作周波数のさらなる向上やマルチコア構成の導入といったように,大手メーカーも既存のマイクロプロセサに磨きをかけています。
こうした最新のマイクロプロセサやこれらを利用したシステム開発の動向をいち早くお伝えするために,弊誌は2005年11月1日から2日に東京で「NE Embedded Processor Symposium 2005」を開催します。件のP.A. Semi社も発表を検討しています。詳細については専用ページをご覧下さい。
















