Appleとソニー,どっちも驚いた
4Gバイトのフラッシュ・メモリを内蔵して249米ドル。日本では税込み2万7800円。米Apple Computer, Inc.が発売した「iPod nano」の値付けには,本当に驚きました(Tech-On!関連記事1)。9月7日付けの日経産業新聞によれば,NAND型フラッシュ・メモリの2Gビット品の市中価格は,国内大口需要家渡しで1800〜2000円。単純計算すると4Gバイト=32Gビットを実現するには,メモリだけでも約3万円の部品コストがかかることになります。もちろん,Apple社は1チップ当たりの容量がもっと大きい品種を使っているでしょうし,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.からフラッシュ・メモリを大量調達したとの話もあります。この価格設定でも十分利益を出せるのでしょう。それでも破格の値段であることは間違いありません。かつて「iPod shuffle」の1Gバイト品が149米ドルという価格で業界を驚かせ(Tech-On!関連記事2),他社に追随を迫ったように,iPod nanoの登場はフラッシュ・メモリを使った携帯型音楽プレーヤの容量を一気に押し上げることになるでしょう。
Apple社の次はソニーです。Apple社の発表と同日に新しい「ウォークマン」を披露することを,ソニーはマスコミに対してあらかじめ通知済みでした。Apple社と同じ日に発表をぶつけてくるからには,相当な自信作に違いない。しかもソニーはApple社を逆転するために,2004年11月に携帯型プレーヤ部門と配信サービス部門を統合した「コネクトカンパニー」を設立。今回の製品は,新カンパニーが満を持して世に問う製品です。否が応でも期待は高まります。
ところが発表会の終了後,参加した記者から受け取った反応は「わかりにくい」の一言でした。売り物にしているのが,「インテリジェンスを持たせた選曲機能」ということ。詳しい説明を聞いても,確かにどこまでうれしい機能か,にわかにはピンときません。それよりも驚いたのは,店頭での想定価格です。フラッシュ・メモリ内蔵型は,2Gバイトで3万2000円というのです。2Gバイトで3万2000円。iPod nanoと比べて容量が半分で,4000円も高いのです。さらに衝撃的だったのが,その発売時期でした。発表した製品のいずれも,出荷が始まるのは11月19日。Apple社が同社のオンライン・ストアを通じて即日販売を始めたのに対し,2カ月以上も先だというのです(Tech-On!関連記事3)。
実はApple社の発表内容は,事前に相当分かっていました。インターネットを流れるウワサや米国のマスコミの報道などは,2G〜4Gバイトのフラッシュ・メモリを搭載した「iPod mini」後継機種や,米Motorola Inc.と共同開発したiTunes対応携帯電話機が登場(Tech-On!関連記事4)することを,ほぼ確実視していました。iTunes Music StoreでMadonnaが配信を始めることや,「iPod nano」という名称まで,私は事前に聞いたり読んだりしました。唯一わからなかったのが価格です。4Gバイトを250米ドルを切る価格で実現するとは,到底推測できなかった。弊誌の記者によれば,現状では2Gバイトのフラッシュ・メモリ搭載品ですら4万円ほどするというのですから。
一方のソニーに対しては,事前の情報がほとんどありませんでした。弊誌の編集部では,ある程度予測が付くApple社よりもソニーの発表の方が面白いのではないかとの意見,いや期待が高まっていたほどです。残念ながら,その期待は満たされませんでした。少なくとも,Apple社の製品よりも価格が高い理由を私は説明できません。
ユーザーを引きつける製品を作る方法の1つは,驚きを与えることです。予想を超える製品が登場すれば,いやでも購買意欲をそそります。その点で,Apple社の今回の発表は及第点を超えました。編集部では,早くもオンラインストアで「iPod nano」を購入した記者がいるほどです。ソニーの発表はどうでしょうか。正直私は失望を覚えました。
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