NHJ破産に思う【追加あり】
NHJ破産に思う【追加あり】
いつもは通勤電車の中で読む日本経済新聞を,昨日に限ってなぜか家で目を通した。すると,デジタル・カメラや携帯型音楽プレーヤを手掛ける「エヌエイチジェイ(NHJ)が破産申請」との記事。驚いた。今年7月に開かれた同社の盛大な記者会見に参加し,先週からデジタル家電の開発体制について同社と取材日程を調整している最中だったからだ。経営不安の印象は正直なかった。
ともかく事実を私なりに確認しなければならない。NHJのオフィスに電話をかける。誰も出ない。朝早いからかもしれない。少し経ってかけ直した。別の電話番号にもかけた。それでも電話はつながらない。ホントかもしれないと思った。
どうすべきか思案するうちに,会社が破産した際には信用調査会社のFAX速報で知らされていたことを思い出した。信用調査会社の方からNHJのオフィスに破産申請を知らせる紙が張られていることを教えて頂き,自ら現場へ行くことでようやくウラをとった。
ただ,NHJ社員や担当弁護士とは連絡がとれないままだった。自己破産に至る経緯や事業継続の意思について情報は得られなかった。話題性の高い商品を提供した実績や,ウォルト・ディズニー・ジャパンからキャラクターの使用許諾を2005年7月に得たことなどから考えると,営業譲渡などによって再起を図ると思うのだが…。
◇NHJ関連の記事 各記事のタイトルを短くしています
本質に根ざす
NHJは「デジタル家電は簡単に造れる」という事実を体現してきた。半導体メーカーが提供する参照デザインを利用しながら,あるときは安さを,またあるときは奇抜さを追求した商品企画で大手メーカー製品と差異化を図ってきた。他社に先駆ける製品化スピードは,現在のソニーイーエムシーエスで民生機器を開発した経験を持つ人物を中心に,デザイナーや経営者など必要最小限の人員で一気呵成に仕様を決めて実現した。開発の大半と製造は台湾系を中心とする中国企業に委託し,販売面ではイオンや米Target社と組んだ。
◇NHJの開発体制 出典:2003年12月22日号
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NHJが採った事業の枠組みには「ゲリラ的で1000億円レベルの事業にはなり得ない」(ある大手電機メーカーの技術者)との指摘もあった。破産を申請した以上,どこかに無理あったのかもしれない。しかし,「安くていいもの」がどんどん簡単に造れるようになる,というデジタル家電の本質を突いていたことは確かだ。韓国や台湾,中国のメーカーに先駆け,デジタル家電の市場に水平分業の構造を持ち込もうとしたのがNHJだったといえる。NHJと似た戦略でデジタル家電市場に打って出る企業は今後も続くだろう。NHJがなくなったとしても,大手メーカーの危機感は消えそうもない。
【追加情報】NHJが取引先に対して述べた破産申し立ての理由を,東京商工リサーチの協力により確認した。その理由とは,香港法人と米国法人で多額の損失が発生したこと。両現地法人で著しく売り上げが低迷した上に,米国法人では返品について不利な契約を販売先と結んでいた。この結果,NHJは両現地法人から売掛金などを回収できず,債務を弁済できなくなった。(2005/08/10)
破産手続き開始や再起の動きを報じました。(2005/08/30)



















