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専門性重視のソニー,多様性を求める日立

専門性重視のソニー
多様性を求める日立

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2005/04/04 10:14
浅見 直樹(日経エレクトロニクス編集長)

 4月です。新年度の始まりです。新戦力である若手エンジニアがこぞってエレクトロニクス・メーカーに入社しました。新入社員を迎える各社の経営トップの言葉を見比べてみました(Tech-On!関連記事)。面白いことに,ソニーと日立製作所の経営トップは対照的な言葉で出迎えています。ソニー代表執行役会長兼グループCEOである出井伸之氏は「その分野で誰にも負けない専門家になってほしい」と専門性の追求を期待し,日立製作所の執行役社長である庄山悦彦氏は,「『なんでもござれ人間』になってほしい」と,たこつぼに陥ることなく,広い見識をもった多様性のある資質を求めています。

 今の時代,技術の境界領域があいまいなことから,専門性よりも多様性に対して価値を見いだす意見が多勢と思われます。異なる境界領域を組み合わせたところに,新たなブレークスルーが生まれる可能性が高いからです。ではなぜ,出井氏が「専門性の回帰」を口にしたのか。

 同氏がソニーのトップになってから,エンジニアに「ビジネス・モデルの創出」を期待する発言が相次ぎました。単に「モノ」を作るだけではなく,社会システムにおける「お金の流れ」を意識することを要求してきたわけです。ところが同氏の期待と裏腹に,ソニーのエレクトロニクス部門は強さを失ってきたという経緯があります。原点回帰との思いから,同社の新入社員に対して「専門家になってほしい」と声をかけたのかもしれません。

 さて,この時代に専門性と多様性のどちらが重要なのか−−私は,一人のエンジニアに双方の資質を求めるのは酷だと思います。専門性の追求を好むエンジニアもいれば,多様性を得意とするエンジニアもいます。全員が専門性を追求するだけではブレークスルーは期待できませんし,かといってみんなが多様性ばかりを重視しても先鋭的な技術力を手に入れられません。異なるタイプのエンジニアからなるチームをいかに編成するか,これが研究開発のマネジメントにおいて最も大切なことの1つではないでしょうか。

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ユーザーからのご意見
■まさに,浅見編集長の意見の通りだと思います。
昔から「できる人間に仕事が集まる」と言われますが,それは組織が最大限の力を発揮できない最大の理由だと思っていました。1つ1つの仕事については常に最優秀である人でも,彼の持ち時間は限られているため,全てを最優秀でこなすことは,時間的に不可能です。もし,こなしていると言われているのなら,相当な手抜きをしているということです。
仕事を内容で分類し,各内容について組織員の能力を数値化し,その組織の持っている仕事について最大の数値が得られる業務分担を基本とすることがスタートだと思っています。その業務分担をベースに,マネージャが指示する(例えば「それは君の仕事ではない」と言う)のが,最も強力な組織ではないでしょうか。
こんなことは単純過ぎて,誰の議題にも上らないようですが,部課長クラスに業務分担で意見しても,全くと言ってイイほど,数値最大化の考えはありません。 (2005/04/07)
■製品開発にあたり,専門性の領域がますます広がっています。
1つの製品を開発して世の中に出すためには,色々な専門知識が必要です。製品として世の中に出すには,製造現場の人たちや営業の人たち,そして顧客の問いかけに答えられなければなりません。この話と経営マネージメントの話は違います。
日立の社長は,「学生時代のように1つの専門知識では済まないよ」と呼びかけているのだと思います。ソニーでも,製品開発をする上では,同じだと思います。出井さんはたぶん,ご自分に向かって言いたかったのではないでしょうか?(2005/04/05)
■MOTの観点から言えば,“両方”を目指す育成を心掛けるべきだと思います。
若いエンジニアの学ぶ態度が真摯であれば,いずれ道に分岐点を見出すはずでしょう。ただ,“何でも屋”を単なる(技術的には中途半端な)ゼネラリストではなく,学際あるいは分野間の調整者と定義するならば,そういう人材を早い段階から育成するプログラムを考えるのも良いかもしれません。(2005/04/05)
■結局,マネジメントの問題でしょう。個人に期待するのは,間違いだと思います。(2005/04/05)
■まずは,1つのことを極めることが重要だと思います。その結果,他の分野でも共通する知見が得られ,応用分野を広げていくことができると思います。また,専門性,多様性はそれぞれ必要ですが,そのバランスが難しいのかもしれません。ものづくりには,これらの相互作用が不可欠だと感じます。(2005/04/04)
■私のエンジニアに対する認識は,専門領域で力をつけ,力を発揮しながら,徐々に領域を広げて行くものです。専門領域を持たないエンジニアは,信用できません。(2005/04/04)
■大規模クラスの企業では,専門性だと思う。ソニーと日立では,会社の文化や問題点が違うから,違って当たり前と思う。(2005/04/04)
■ソニーもいわゆる大企業病で,専門家同士の横のつながりが薄れているのかもしれません。
例えば,燃料電池の分野をとってみても,ソニーと日立の間にはかなりの差があるのではないかと思われます。この差は,なぜ生まれてしまったのでしょうか?
新卒入社の皆さんは,これからがエンジニアとしての本当の勝負なので,「これは自分の専門外なので分かりません」とか「できません」とか言って欲しくないですよね。(元製造現場の人間より)(2005/04/04)
■高い「専門性」がなければ,「何でもござれ人間」にはなれないでしょう。
技術者と付き合っていると,専門性が高い人ほど柔軟だ,ということに気が付きます。問題なのは,マネジメントや経営の「専門性」を具備した人間が,日本のメーカーには少な過ぎるということではないでしょうか。(2005/04/04)
■専門家になるためには,専門分野の周辺技術に対する理解・知識を持たざるを得ません。本当の意味での専門家になる方が,何でも屋で取り柄のない技術者より良いのではないでしょうか。(2005/04/04)
■「異なるタイプのエンジニアからなるチームをいかに編成するか,これが研究開発のマネジメントにおいて最も大切なことの1つではないでしょうか」…まさしく同感です。(2005/04/04)
■1人の人間に両方を求めるのは,そもそも無理があります。まれに両方こなせる人もいるかも知れませんが,そんなスーパーマンだけで組織を構成することは不可能です。
ビジネスに両方の能力が必要なのは,確かにその通りですが,あくまで「組織として」両方を具備していれば良いのであって,1人1人が両方こなせる必要はありません。と言うか,1人1人はどちらか一方しかこなせないのが普通だからこそ,我々は「組織」でビジネスに臨むのです。お互いに不足している能力を補い合うために。
その意味で,浅見編集長の指摘は実に当を得たものと考えます。(2005/04/04)
■当たり前のことだが,両方とも必要である。
しかし,日本では技術者にビジネス感覚がなさ過ぎるので,今後,技術立国を志向するにしては不安である。技術者の中からビジネス・センスのある人が日本をリードする地位に上がれるような仕組みを作るべき。(2005/04/04)
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