アイデアはあれど,組み込みソフト技術者がいなければ
アイデアはあれど
組み込みソフト技術者がいなければ
Game Developers Conferenceなどの取材で米国出張した際に,Tech-On!掲載のブログ「俺たちの起業」著者の中川裕人氏にお会いしました。ある種の携帯機器を作るベンチャー企業をシリコンバレーに設立するため,短期滞在しているとのこと。
なぜ中川さんが日本ではなくシリコンバレーにベンチャー企業を興すのか。それは,携帯機器の開発には組み込みソフトウエアの開発が必須なのに,組み込みソフトウエア技術者が日本では雇えないからだそうです。正確に言えば,組み込みソフト技術者は大手企業が囲い込んでいる状態で,求人をかけてもほとんど人が集まらないのだとか−−。
ベンチャー企業を生む土壌として重要な要素の1つに,技術者市場の流動性があります。いくら新規なアイデアがあっても,一緒に仕事をしてくれる優秀な技術者を雇えなければベンチャー企業は興せません。「ベンチャー・スピリットといったものは,国柄とは関係ない。隣で成功している人が現れれば自然とわき出るモノ」とは中川氏の弁。
同様の弊害が,日本の会社の中でも起きているようです。三菱電機でLSI設計分野及び情報ソフトウエア分野を担当する主席研究員の清尾克彦氏によれば,社内の中ですら組み込みソフトウエア技術者の部門間の流動性が低く,改善に骨を折っているのだとか。
ベンチャー・ビジネスが異分野の技術者たちの邂逅から生まれるとすれば,組み込みソフト技術者が1つの部門に囲い込まれているというのは,もったいない話です。まずは,社内の部門間で組み込みソフト技術者の流動性を高めたり,社内ベンチャーを起こしやすくすることで,今までにないユニークな発想の組み込み機器が生まれるかもしれません。
「ものづくり日本の趨勢は,ハードウエアとソフトウエアの摺り合わせができる組み込みソフトウエア技術者が握る」。組み込みシステム開発技術の研究に従事する名古屋大学教授の高田広章氏はそう語っています。そういえば,社内ベンチャーの成功例であるプレイステーションの開発にも同じことが言えそうです。開発の重要な一翼を担ったのは,ゲーム機とは関係ない部門から引っ張りだされ,ゲーム用の3次元映像処理ソフトウエアやリアルタイムOSを開発するに至った組み込みソフト技術者でした。


















