価格を上げるという選択肢
皆さんご存じのように、日本の家電メーカーが苦境にあえいでいます。海外市場では、ソニーがインドで薄型テレビの金額シェアでトップを取るといった明るい話題はあるものの、基本的には韓国Samsung Electronics社や韓国LG Electronics社の背中は遠くなるばかりです。その後には中国の新興メーカーとの戦いも控えています。弊社の日経ビジネス2011年9月26日号では「家電ニッポン 最後の戦い」という特集を組んで、日本の家電メーカーがこの窮地から脱する方法を模索しています。
セット製品が苦しいのなら、日本は得意の部品/部材で生き残るしかないのではないか。そうした思いから、私は今、部品/部材メーカーにスポットを当てた特集を、この分野に詳しい記者と共に企画しています。
現在、最も市場が伸びているエレクトロニクス機器と言えば、何と言ってもスマートフォンでしょう。米Apple社の「iPhone」はもちろん、Androidを搭載したスマートフォンも、従来の携帯電話機を急速に駆逐しています。例えば、NTTドコモは携帯電話機の上位機種をスマートフォンに全面的に切り替えるとのことです(日本経済新聞の記事)。伸びが著しいスマートフォンに部品が採用されることで、その部品のメーカーは潤うはず。「そうした特集を日経エレクトロニクスに掲載することで、日本のメーカーが少しでも元気づけられれば」と考えていました。
しかし、取材を始めてみて、その考えがいかに甘いものであったかを知らされました。日本の部品メーカーが強かったはずの分野でも、海外メーカーに押されてきているのです。数年前までは日本メーカーが圧倒的なシェアを持っていたLiイオン2次電池は、もはや韓国勢にシェアで逆転されています。積層セラミック・コンデンサでは韓国Samsung Electro-Mechanics社(SEMCO)、水晶発振器では台湾TXC社といった強力なライバルとの戦いを日本メーカーは強いられています。
スマートフォンの心臓部である通信チップセットやアプリケーション・プロセサの分野を日本メーカーが取れていないのも問題です。こうしたLSIが周辺部品の機能をどんどん取り込んでいくことで、スマートフォンに必要な部品の数は減っていきます。また、周辺部品に必要とされる仕様も、こうしたLSIを供給するメーカーの意向に左右されることになってしまいます。
















