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地下鉄内でiPhoneがつながらないわけ

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2010/08/02 10:05
中道 理=日経エレクトロニクス

 先日,編集部員の間で「なぜ,地下鉄のトンネル内で携帯電話やスマートフォンの通信ができないのか」について議論になりました。筆者は,以前に所属していた編集部でこの問題を調べたことがあったため,たまたまその理由を知っていたのですが,一般には良く知られていないと感じましたので,今回はその話をさせていただきます。

 地下鉄のトンネル内で通信できない理由として,「車両内で乗客が電話をするのを防止するため,マナーの観点で鉄道会社がアンテナの設置を禁止しているのではないか」という話を聞くことがあります。かつてはそういう方針もあったようですが,現在はむしろ逆で,ユーザーの利便性向上のため,鉄道会社はトンネル内にアンテナを設置してほしいと考えているようです。設置が進まない最大の理由は,マナーではなく,携帯電話のアンテナの設置コストが非常に高いことにあります。

 設置コストが高いのはアンテナ設置作業が細切れになるためです。地下鉄トンネル内にアンテナを設置しようとする場合,地下鉄が運行していない深夜に作業をしなければなりません。終電が深夜1時近く,始発が5時ぐらいですから,作業時間は4時間程度ということになります。トンネル内の工事では,時間内に作業が終わらなくても,足場や機材を始発までに撤去しなければなりません。機材や足場をそのまま放置した場合,大きな事故につながる可能性があるためです。そのため,実際の作業に使える時間はさらに短くなります。さらに,トンネル内の線路や機器のメンテナンスで,作業ができない日も多いそうです。

 このように設置作業が非効率であるため,地上に基地局を設置する場合と比較して,4〜5倍の費用がかかるそうです。携帯電話事業者にとっては,別の場所のエリアを広げた方が効率的なので,地下鉄トンネル内はどうしても後回しになってしまいます。

 既にほぼエリア展開が済んだ携帯電話事業者なら,地下鉄トンネル内のエリア拡大の余力がありそうですが,1社で勝手にどんどん整備を進められないという問題があります。トンネル内はスペースが限られることから,携帯電話事業者4社共同でアンテナを設置します。そのため,各社の合意が得られないと設置が進まないそうです。

 今後, LTEのような高速・低遅延の通信サービスが浸透すれば,端末で実行されるアプリケーション・ソフトウエアとネットワーク上のサービスの連携がより一層,密になってきます。今でさえ,スマートフォンを使っているユーザーにとってはトンネル内でネットワークにつながらないのがストレスなのに,今後は堪えがたい状態になってくるでしょう。トンネル内へのエリア拡大がスムーズに実施できる技術の開発や制度作りが進むことを期待します。

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