無線の行方はアンテナが決める
とうとう起こったか――。それが,米Apple Inc.の新型スマートフォン「iPhone 4」でのアンテナ問題を見て最初に感じたことでした。
これまで日経エレクトロニクスでは,携帯電話機でのアンテナ技術の重要性について特集記事(2008年6月16日号「無線の行方はアンテナが決める」)や解説記事(2009年2月23日号「ケータイ・アンテナ解剖 ワンセグ内蔵に透ける未来」),最近では6月のNEアカデミー「LTEで常識になるMIMO技術」(関連記事)を開催することなどで訴えてきました。それらの取材で感じていた懸念の一つが本当になってしまった,と感じたのです。
携帯電話機などの無線端末は回路技術のデジタル化が進んだこともあり,小さく,あるいは薄く軽くなる一方です。Apple社のようにデザインを重視する企業の端末では,なおさらでしょう。ところが,アンテナだけは「最後まで残るアナログ技術」とも言われ,小型化が容易ではありません。
半面,要求されるデータ伝送速度のハードルは上がり続けており,しかもLTEでは複数のアンテナ素子を利用するMIMOが必須となります。アンテナ技術者は大幅な小型化と高感度化,そして低コスト化の実現という離れ業を演じなければならなくなっています。
こういった,アンテナ技術に余裕がなくなってきている状態で,仮にデザイン性や低コスト化を無線通信の性能よりも重視する製品開発をしてしまうと,すぐにもしっぺ返しを受ける。iPhone 4の例がこれに当てはまるかどうかはまだ分かりませんが,一般論としては,今後の無線端末を開発する上で肝に命じておかなければならない点でしょう。無線端末はつながってなんぼ。新しい端末の開発には,相当の強い意思を持ってアンテナ技術の開発に投資していく必要が出てきているのです。
日経エレクトロニクス2010年7月26号では,メイン・アンテナやサブ・アンテナの詳細を含めた,iPhone 4の分解記事を掲載する予定です。


















