プリウスのブレーキ、遅かった情報公開
2月9日午後、東京のトヨタ自動車本社で新型「プリウス」のリコールに関して社長の豊田章男氏が出席した記者会見が開かれました。トヨタは記者会見に先立って国土交通省にリコールを届け出、ほぼ同じくして米国でもリコールを届け出ました。
今回の会見ではこれまで「ブレーキペダルを踏みながら、路面状態が通常の状態から水たまりなど滑りやすい路面に移ると、ブレーキ制御の切り替えに伴い、油圧ブレーキの制動力が瞬間的に弱くなる」とされてきた問題が初めてより詳しく説明されました。
簡単に言うと、「快適性を重視してABS作動時に電動油圧ポンプを作動させず、運転者の踏むペダル踏力をブースタで増幅した圧力を利用するようにした結果、滑りやすい路面における制動力が不十分になり、制動に遅れが出て、停止距離が長くなる」ということでした。
プリウスに採用されている回生協調ブレーキは、モータによる制動力と油圧による制動力を併用しています。この状態で、車輪のスリップを検出してABSの作動モードになると回生ブレーキを解除して、油圧ブレーキの圧力を高めます。その際に先代のプリウスは電動の油圧ポンプを作動させて強制的に油圧を高めて制動力を発生していたのに対し、新型では電動ポンプを作動させずに運転者がブレーキを踏んで発生させた油圧をブースタで増幅した油圧を使うのです。ただ、ブレーキを軽くしか踏んでいないと、発生する油圧が小さいため、ABS切り替え後の制動力が一瞬弱まるというのです。新型のメリットは、電動ポンプの作動音や振動などを低減して快適性を高められることですが、これを重視したことが今回の問題の原因となったのです。
対策は、ABSの制御プログラムを書き換えて、従来のプリウスのようにABS作動時に電動ポンプで油圧を高める方法に変えることです。これによって、通常のABSと同等の制動力を得られるといいます。
残念なのは、こうしたプログラムの変更を2010年1月の生産車から実行しており、対策の検討はさらに前の2009年秋から進めていながら、問題が大きく報道されるまで内容が詳しく公表されなかったことです。トヨタでは「幸いにも重大な事故やけがについての実例はないが、すでに販売した20万台以上のクルマがこの先何年も走り続けて何も起こらないとはメーカーとして言い切れない」としてリコールを届け出たといいます。
トヨタ自動車社長の豊田章男氏は「失敗を真摯に受け止めて改善する」と会見で再三述べています。同時に「お客様第一」に立ち戻るとも表明していますが、リコールを申請する以前に不具合の詳細な説明や原因、対策について公表しなかった責任は大きいのではないでしょうか。






















