Androidで遅れを取る日本メーカー
記者:「開発はいつから始めたのですか」
取材先のCEO:「2009年7月からです。既に開発は終了して,自動車メーカーで現在評価中です」
記者:「えっ,開発期間はわずか4カ月ってことですか…」
先週,パシフィコ横浜で開催された組み込みソフトウエア関連の技術展「Embedded Technology 2009」を取材しました。個人的な注目製品の一つは,中国ArcherMind Technology, Inc.が出展したカーナビ・システムでした。理由は二つあります。一つは,同社がこのシステムは米Google Inc.のソフトウエア・プラットフォーム「Android」を搭載した世界初のカーナビであると主張していた点。もう一つは,ArcherMind社が実績のあるソフトウエア開発企業であること。例えば同社は,中国ChinaMobile社が規格したAndroidベースのスマートフォン・プラットフォーム「OPhone」のソフトウエアの一部などを開発しています。
実際に展示会場で見た,そのカーナビ・システムは,ある意味,予想通りのものでした。つまり,プラットフォームにAndroidを採用したPNDに,ダッシュボードに収まる7型のタッチパネル液晶を付けたような簡単なシステムだったのです。
製品そのものには驚きがなかった一方で,やはりすごいなと感じたのはスピード感。冒頭のやりとりのように,同社CEOのJiping Wang氏に開発期間を質問すると,わずか4カ月程度という答えが返ってきたのです。Androidのように「使える」と思うものはさっさと使って,とりあえず製品を作ってしまおう,という勢いを感じました。
このカーナビ・システムは,「低価格帯の自動車への搭載を狙っている」(Jiping Wang氏)そうです。世界一の規模となった中国自動車市場の今後の成長性を考えると,こうした廉価なカーナビ・システムが世界を席巻する日も遠くないような気がします。
「Android採用」だけではダメ
このような海外メーカーに比べて,日本の大手メーカーのAndroidに対する取り組みは慎重というか,どちらかと言えば「遅い」ような気がします。
例えば,携帯電話機では,シャープが2009年11月17日に開催した発表会で,「Androidを搭載した携帯電話機を2010年前半に投入する」と表明しました。Android搭載機の投入時期を明言したのは,国内メーカーとしては初めてのことです。
ところが,海外メーカーからは既にAndroidを搭載した携帯電話機が続々と登場しています。最近では米Motorola, Inc.が発売した携帯電話機「DROID」が,米国において発売後1週間で25万台も売れるなど,非常に注目を集めています。
もちろん,Androidの採用について,日本の大手メーカーの対応が遅いことには確固たる理由があるはずです。例えば,携帯電話機ならば通信事業者のAndroid戦略が不透明だったとか,Googleという1社が開発しているオープン・プラットフォームに乗るべきかどうか判断に時間がかかった,などが考えられます。
しかし,世界は日本メーカーの事情とは無関係にどんどん進んでいます。既に中国では,Androidを搭載した電子書籍端末やデジタルフォトフレームなどが多数開発されているそうです。こうした機器を手がけるメーカーの技術力は,現在はさほど高くないかもしれません。しかし,短期間に実力をつけ,ChinaMobile社のOPhoneのように世界進出を狙うものも出てくるかもしれません。
海外勢と比較して,開発のスピードやコスト競争力で劣る日本メーカーは,単にAndroidを採用したというだけでは競争に勝てないでしょう。「さすが,日本メーカー」と海外勢を唸らせるような差異化を施した機器を開発する必要があります。実はオープンソースで,OSとブラウザーなどのアプリケーションがパッケージ化されたAndroidでは,この差異化が容易ではないのも事実です。しかし,日本メーカーには,この壁を超えて世界に実力を示して欲しいと思います。
















