Androidが端末メーカーに与える悪影響と商機
Androidは,携帯電話機産業にどんな影響を与えるのか。私は「携帯電話機を端末メーカーの手から解放することによって,サービス事業者や個人のニーズに沿った端末が一層作りやすくなる」かもしれないと考え始めている。
日本では携帯電話事業者が端末の進化や競争を仕切っているので,「は?」と思われてしまうかもしれない。でも,Androidの開発者コミュニティーや中国の無秩序で壮絶な競争を見ていると,そう思えて仕方がないのだ(なお本エントリーはセミナーにかかわっていない私個人の考えです)。
中国や欧州などでは,SIMロック・フリー端末が普及し,携帯電話事業者抜きの端末メーカー同士のガチンコ勝負が繰り広げられている。携帯電話事業者は日本のように端末を仕入れる負担こそないが,満足しにくいだろう。端末が携帯電話事業者のサービスに対応するか否か,端末メーカーが決めるからだ。この課題には,Google社に代表されるWebサービス事業者も気付いている。
消費者の多くは,端末メーカー主導の現状に不満を抱いていないものの,そうでありつづけるとは考えにくい。「iPhone」のアプリケーション・ソフトウエア群が,端末の演算資源がいかに有用か(どれほど楽しみをもたらすか)明らかにしたからだ。つまり,端末メーカーに依存する携帯電話機の進化や競争は,携帯電話事業者やWebサービス事業者,消費者にとって,あまり良い状況ではないかもしれない。
では,この三者にとって好ましい端末の進化や競争とは,どんなものか。それは事業者や消費者のニーズに沿ってAndroidやWebサービス,各種のハードウエア部品を,より素早く,より的確に端末にまとめ上げる競争だろう。まとめ役は端末メーカーとは限らない。サービス事業者も,ちょっとした知見を持つ個人も含まれるはずだ。
既にiPhoneやAndroid端末では,ソフトウエア流通によって端末メーカーが管理しきれない機能進化を実現した。そしてそれは,端末メーカーによる買い替え需要のコントロールさえ難しくするだろう。後者が顕著なのが,Android端末である。
TechCrunchの記事(Android 2.0のソースコード公開―あっという間にT-Mobile G1にポーティング成功)が象徴するように,Android端末ではプリ・インストールのソフトウエア群を,ハードウエアに縛られずに動かせる。同様に合法なのか不明ながら,例えば台湾HTC社の「Magic(日本名HT-03A)」では,より新しい機種「Hero」のソフトウエア群が稼働する。さらにHero用には,数種類の「custom ROM」が配布されている。オリジナルの欠点を克服したソフトウエア群だ。
基幹ソフトウエア部品の流通に,山寨手機が象徴するハードウエアの作りやすさが結合したらどうなるか。法的,政治的な手段だけで端末メーカーが,携帯電話機の進化や競争の主役であり続けることは難しい。これは裏を返せば,国際競争で必ずしも優位でなかった端末メーカーや企業に新たな商機が訪れたということでもある。
◆参考情報
(1)Androidの潜在能力については,気鋭のソフトウエア企画者であるshi3z(ユビキタスエンターテインメント 代表取締役 兼 CEO 清水 亮)氏によるエントリー「iPhoneとAndroid以外の携帯電話が店頭販売されなくなる日」が興味深いです。
(2)custome ROMについては,xda-developersやTheUnlockerが参考になります。
























