MITのワイヤレス給電,どこまで進化したか
2007年6月――。「約2m離れた60Wの電球に電力を送り,点灯させた」と実証報告し,世界をあっと驚かせた米MITの研究チーム(Tech-On!関連記事)。これが発端となり,多数のメーカーや研究機関が「ワイヤレス給電」の実用化に向け,研究開発に熱を入れるようになりました。
その後,研究を主導したMarin Soljacic氏らが創業者となって,ワイヤレス給電の商用化を目指すベンチャー企業「 WiTricity Corp.」を立ち上げました。同社のホームページには,テレビや携帯電話機のほか,自動車や産業機器,ロボットなど,幅広い応用に向けて開発を進めていることが記されています。ただし,開発中のデバイスの詳細など多くの事柄はベールに包まれたままであり,その取り組みに世界中の研究者/技術者が注目している状況にあります。
このWiTricity社が今回,日経エレクトロニクスの招きに応じ,来日することになりました。弊誌が「CEATEC」の10周年記念として開催する「 NEテクノロジー・シンポジウム2009 @CEATEC 」のセミナー「電源ケーブルが消える日」で,同社CEOのEric Giler 氏が登壇します。
電気自動車などで話題に
MITの発表以来,米Intel Corp.や米Qualcomm Inc.など,米半導体業界の大手企業がワイヤレス電力伝送の研究開発についてアピールし始めました(Tech-On!の関連記事)。日本でも,総務省が壁掛けテレビなどへの応用を目標に,研究開発プロジェクトの推進を表明しています(Tech-On!関連記事)。
特に最近では,電気自動車などの非接触充電用途の関心が高まっています。日産自動車は,同社の電気自動車向けに非接触充電システムを開発中であることを明らかにしました(Tech-On!関連記事)。同社が公開したシステムでは,昭和飛行機工業と共同開発した電磁誘導方式を用いています。このほか先週には長野日本無線が,電気自動車や携帯機器に向けた磁気共鳴方式のワイヤレス給電システムの開発を発表しました(Tech-On!関連記事,PDF形式の発表資料)。数十cm〜1m程度の距離で電力伝送が可能で,40cm伝送時のコイル間の送電効率は,95%としています。
こうした流れの火付け役とも言えるMITの研究チームが,商用化に向けて立ち上げたWiTricity社。最先端の研究成果が果たしてどこまで進展しているのか,どのような企業へのOEMを進めつつあるのか,我々も非常に興味があります。まずはどの分野から市場展開を目指しているのか,そのビジネス・プランや,国内メーカーとの協業の可能性について聞いてみたいと思っています。
ワイヤレス給電に関しては,携帯電話機の非接触充電アプリケーションがあり,韓国や米国市場では,一部で実用化が始まっています。国内では携帯電話機への搭載はもう少し時間がかかりそうですが,関連するデバイス・メーカーの期待は大変大きなものがあります。充電時の位置あわせ精度や安全基準の整備なども進んでおり,実用化もじわじわと近づいてきているようです。今年のCEATECに,関連する試作機が出展されてこないかなと,密かに期待しているところです。
(日経エレクトロニクスは,電力の無線伝送に関する技術セミナー「電源ケーブルが消える日」を10月に開催します。WiTricity社のほか,携帯電話機の充電用途に関してNTTドコモが,そして自動車やバスでの利用に関して昭和飛行機工業が講演します。関連する分野に関心のある皆様に,是非ご参加いただきたいと思っております)
























