EVの電池コストを下げるには
「EV(電気自動車)用電池のコストを、ここ数年で半分にするには、技術だけでは限界があります。仕組みの導入が必要です」━━。そう話すのは、東芝でLiイオン2次電池の開発に携わる二次電池システム技師長の本多啓三氏。Liイオン2次電池の技術に大きな期待が高まっている中で「技術でLiイオンを低コスト化するには理論上の上限があることを認識し、新しい仕組みの導入を急ぐべき」と指摘します。
EVに占めるLiイオン2次電池のコストは半分と言われています。2009年7月には、三菱自動車が「i-MiEV」、富士重工業が「プラグインステラ」を法人向けに発売しました。価格は、i-MiEVが459万9000円、プラグインステラが472万5000円です。ベースとなる軽自動車の価格は、i-MiEVの場合で106万500円(i、グレードS)。プラグインステラの場合で88万8300円(ステラ、グレードL)ですから、どちらのEVもベース車の4〜5倍になっています。
EV向け2次電池を低コスト化できなければ、EVの車両価格の低減には限界があり、普及にも弾みはつきません。本多氏は「2030年ごろには次世代の2次電池が出てきて性能は数倍、コストは数分の1にすることは可能になるだろう」と予測します。しかし、今後3〜4年のレベルで考えると「技術の進化で低コスト化できるのは20〜30%程度。理論上、数分の1レベルのコストダウンは無理がある。自動車業界は、技術だけでコストの課題を解決するのではなく、仕組みの導入など割り切りが必要」と説明します。
「仕組みで解決する」というのは、電池の2次利用を前提として、EVユーザーには電池をリースすることを指します。東芝が実用化したLiイオン2次電池は、産業用のタイプの場合で、充放電回数が6000回で90%以上の電池容量を維持しています。毎日充電したとしても1年間で365回、10年で3650回です。EVを10年間使うとしても、電池容量は90%以上を維持する計算になります。EVのユーザーが、低下する容量分だけのコストを負担するのであれば、電池のコストは現在の数分の1にできる、というのが本多氏の主張です。
クルマで使用した後の電池は、家庭や事務所の太陽電池用の蓄電池として2次利用することを想定します。容量が低下した電池であっても、多数搭載することで解決します。
ただし、本多氏の提案する方法でも課題はあります。電池を2次利用するためには、電池が長寿命であるということが前提になります。電池メーカーによって、2次利用まで対応できる寿命の長いものと、そうでないものがあるかもしれません。これらを明確に見極める必要があります。電池の低コスト化は一筋縄ではいきそうもありませんが、現在の補助金頼みの普及から、早く脱することを期待したいものです。





















