ユーザー・インタフェースは宝の山《訂正あり》
米InvenSense, Inc. President兼CEOのSteve Nasiri氏と会う機会がありました。同社は他社に先駆けて,MEMS方式の2軸角速度(ジャイロ)センサを量産化したベンチャー企業です。前回,お会いしたのは確か2007年,国内のデジタル・カメラ・メーカーが,InvenSense社の角速度センサを手ぶれ補正機能向けに採用することを決めた直後でした。「これからは角速度センサもMEMSの時代が来る」と熱く語っていた印象が残っています。
今回はどうか。前にも増して意気軒高でした。「2009年の業績を2008年の5倍に伸ばす。世の中は不景気だけど,何とか達成できそうだ」とNasiri氏は断言します。
その自信の根拠の一つは,同社の角速度センサを,あの任天堂が採用したからでしょう。任天堂が2009年6月に発売する予定のアクセサリ「Wii MotionPlus」に,同社の角速度センサ「IDG-600」が採用されています。Wii MotionPlusはWiiリモコンに角速度検出機能を追加し,位置検出能力を高めるアクセサリです。任天堂がこの春の目玉として市場に投入するゲーム「Wii Sports Resort」に標準で同梱することからも,その力の入れようが分かると思います(Tech-On!関連記事1,Tech-On!関連記事2)。
そんなNasiri氏に同社の今後の戦略などを聞いたのですが,ちょっと驚いたのは,同社が狙う今後の成長分野として「リモコン」を挙げたことです。角速度センサの主な用途は,デジタル・カメラなどの手ぶれ補正用途と,カー・ナビなどだという先入観があったからです。しかしNasiri氏は「そうしたマーケットも重要だが,今後伸びるのはリモコンや3Dマウスといったユーザー・インタフェース機器」と言うのです。
その根拠は,大画面テレビなどが今後ネット対応を急速に進めるからだと言います。「リビングでインターネットのコンテンツを見ることが増える。ソファに座ったままリモコンを動かしたとき,パソコンのマウスのように使えるようにする必要がある」(Nasiri氏)。リモコンの細かい動きを検出して,画面と連動させるには角速度センサが絶対に必要になるというのです。なるほど。そうした用途なら加速度センサだけでは不十分かもしれません。
そういえば先日,ユーザー・インタフェースのデザインを手掛けるソフトディバイス 代表取締役の八田晃氏と話したときに,八田氏は「先進的な企業はもう,タッチパネルや加速度センサの『次を』模索している」と言っていました。Apple社のiPhoneや任天堂のWii,DSは,人の「ジェスチャー」を検知して機器の操作に使うユーザー・インタフェースを一般的にしました。Nasiri氏の言うように,今後はリモコンを動かしたり,振ったりするようなユーザー・インターフェース機器が一般にも広く受け入れられるでしょう。この時に,ジェスチャーを読み取るのは,必ずしもタッチパネルや加速度センサに限る必要はありません。そう考えると,ユーザー・インタフェース分野は,センサにとって宝の山と言えるかもしれません。
実は八田氏と話したのは,5月27日〜28日に日経エレクトロニクス主催で行うイベント「センサ・シンポジウム 2009」で,講演をお願いしたからです。八田氏には「UIデザイナーから見たセンサ技術」というテーマで,28日にお話しいただこうと思っています。こうした分野に興味がある方は,プログラムの内容を一度見ていただければと思います。
センサ・シンポジウム 2009 開催概要
(http://techon.nikkeibp.co.jp/seminar/090527a.html)
《訂正》
記事掲載当初,「米InvenSense, Inc.」の社名を誤記しておりました。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に訂正済みです。


















