日経エレクトロニクス雑誌ブログ

自家用ジェット機からハイブリッド車へ

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2008/12/05 09:00
田野倉 保雄=日経エレクトロニクス編集長

 11月中旬,米国ニューヨークへと向かった。カー・エレクトロニクス関連のイベント「15th World Congress on Intelligent Transport Systems」(通称:第15回ITS世界会議)に参加するためである。このイベントはアジア,欧州,北米の持ち回りで毎年開催されており,今年の開催地はニューヨークだった。

 幸か不幸か,ちょうど米自動車3大メーカー,いわゆる「ビッグスリー」がワシントンでの公聴会に出席し,公的資金による救済を訴えていた時期と重なった。ビッグスリーの首脳陣がワシントンに自家用ジェット機で乗り込んだこともやり玉に挙がるなど,連日「ビッグスリーは本当に救済する価値があるのか?」といった議論や記事をテレビや新聞などで多く見聞きした。

 私が参加したイベントでは,こんなハプニングがあった。展示会場内でのブース出展を見合わせていたGM社だったが,トヨタ自動車,日産自動車,ホンダ,Volkswagen社といった日欧の自動車メーカーとともに,実車を用いた車車間通信などの公道デモンストレーションには参加する予定だった。だが,これも急遽,GM社だけがキャンセルしてしまった。

 議会に救済を求めていた,まさに真っただ中だったため,やむを得ないと思うのだが,米国で開催されたイベントでビッグスリーがほとんど姿を見せなかったのはちょっとさびしい感じだった。ただ,最も残念がり,悔しい思いをしたのは,今回の公道デモのために一生懸命準備してきたはずのGM社の技術者だったに違いない。

 そのビッグスリー,12月2日に再建計画を発表し,3社合計で合計340億ドル(約3兆2000万円)の支援を求めた。果たして政府が支援に動くのかどうか,現時点では分からないが,支援しても支援しなくても今後の自動車業界の行方を大きく左右することになりそうだ。

 考えてみると,自動車業界のこの10年間の動きは実に目まぐるしかった。1998年に「世紀の大合併」と呼ばれたDaimler-Benz社とChrysler社の合併に始まり,その後の日米欧メーカー間での合従連衡,そして2007年のDaimlerChrysler社の解消,日本メーカーの躍進とビッグスリーの凋落・・・。この10年間は一体何だったのか,じっくり考えてみたいところだ。現在,再編が進むエレクトロニクス業界にとっても,反面教師にすべき点や見習うべき点などがあると思う。個人的にはビッグスリーの今回の危機は,彼らが大きく生まれ変わることができる大きなチャンスだと捉えている。

 ビッグスリーの首脳陣は12月4,5日に,ワシントンでの公聴会に再び出席する。今度はデトロイトから800km以上の長距離を自家用ジェット機ではなく,ハイブリッド車で向かうとのこと(ちなみにGM社はChevrolet Malibu Hybrid, Ford社はFord Escape Hybridを利用するそうだ)。重要なのは「見かけ」ではないことを,彼らも重々承知していることに期待したい。

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