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日経エレクトロニクス雑誌ブログ

Gates不在のPDC,会議の「顔」は地味になったが

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2008/11/11 09:27
北郷 達郎=日経エレクトロニクス
図 Dell社のNetbook「Inspiron Mini 9」をWindows 7で動かす
図 Dell社のNetbook「Inspiron Mini 9」をWindows 7で動かす
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図 WinHECの展示会場でWindows 7を自由に触れるコーナーを設置
図 WinHECの展示会場でWindows 7を自由に触れるコーナーを設置
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 10月末から11月の頭にかけて,米国Los Angelesに滞在しました。米Microsoft Corp.が開催する「Professional Developers Conference 2008(PDC)」と「WinHEC 2008」に参加するためです。Bill Gates氏の引退後,初の大規模イベントだったのですが,Microsoft社という企業らしさは失われていないというのが印象的でした。

 PDCの「顔」は,Chief Software Architectを引き継いだRay Ozzie氏です。Ray Ozzie氏は二つの基調講演を担当しました。次世代のクライアントOS「Windows 7」と,インターネットでアプリケーション・ソフトウエアを提供するためのプラットフォームである「Windows Azure」です。Gates氏のような派手さはなかったものの,同社の「Software+Services」を粛々と進めているという印象を受けました。元々「Lotus Notes」など複数ユーザーの連携に注力してきたOzzie氏の意向を反映してか,PDC 2008では明らかにWindows Azureの方に力が入っていました。

 Windows Azureは一般に「クラウド向けOS」などと言ってますが,有り体に言ってしまえば「超巨大なホスティング・サービス」といったところ。Windows Azureの管理画面などは,開発ツールやOSといった姿を想像するとかなり違ったものになります。要はごく一般的なサービスの管理画面と一緒で,サービスを「作成」したり,ユーザーのアクセス状況やトラフィックの量をチェックしたりできます。実際にサービスを開発するのは,あくまでもWindows Serverなどを使ってローカルでAzureに対応した実行環境を作っておき,それをアップロードするというスタイルになります。プログラムのロードと実行を司るという点ではOSに近い点もありますが,「操作」を指定するという感じはありません。要するに,米Google Inc.の「Google App Engine」と同じです。

 その基盤ソフトウエアに同社のサーバーOSを使っているので,サーバー向けに開発したアプリケーション・ソフトウエアを,あまり手を入れずにそのまま動かすことができるという点がWindows Azureの売りです。企業内のアプリケーション・ソフトウエアの稼働環境がWindowsの「.NET Framework」ベースであれば,比較的容易に「クラウド化」できます。この点は,PythonをベースとしているGoogle App Engineとは大きな違いと言えるでしょう。ただし実際には,Javaで書かれている場合が多く,.NET Frameworkで構築している企業はそれほど多くないのではないかと思います。

 PDCでWindows Azureが発表されるのはあらかじめ分かっていたことでしたが,直前になって「Microsoft Officeに関する発表もある」という噂が出てきました。結果,発表したのが次期Officeである「Office 14」(開発コード名)で,「Office Web Applications」を用意するということ。要はオンライン版のオフィス・スイートですが,RIA(rich internet application)実行環境の「Silverlight」を使うことにより,Windows版とあまり変わらぬ機能を実装しようとしている点がうかがえました。

 Google社の「Google Docs」や米AdventNet社の「Zoho」など,オンラインのオフィス製品は少なからずあります。米Thinkfree Softwareの「Thinkfree Office」のように,Javaを使ってかなり再現度の高いオフィス製品を提供するサービスもあります。ただ現在のところ,こうした使い勝手が利用者層の拡大に直接結びついているような感じはありません。今のところ知名度で圧倒的なGoogle Docsが使われているように思います。その意味では,今回のMicrosoft社の参入はかなり大きいのではないかと感じています。

小型PCにもWindows 7を

 さて,こうしたオンライン系の影に隠れてしまった感のあるWindows 7でしたが,意外と重視しているなと感じたのが,台湾AsusTek Computer社の「Eee PC」に代表される小型パソコン,いわゆる「NetBook」への対応です。PDCではサラっと流した感じがありましたが,WinHECではWindows 7を搭載したノート・パソコンを自由に触れるコーナーを置いて,NetBookを展示しましたし,基調講演でも実際に動かすデモを見せました。

 これはやはり,現行の「Windows Vista」がNetBookではまともに動かないという批判に対するMicrosoft社の回答なのでしょう。元々はOSのモジュール化を進め,「NetBook向け構成」「ノート・パソコン向け構成」などを変えられるようにする計画だったが,それがWindows 7では間に合わずにWindows Vistaベースで開発しているという噂がありました。このためNetBookにはWindows 7ではなく,Windows XPの販売を継続するのではないかと想像していたのですが,どうやらそうではなくなりそうです。

 NetBook向けのWindows Vistaとクラウドへの対応は,Microsoft社にとって明白な「穴」を埋めてきたという印象があります。こうやって穴を埋めながら,じっくり市場へ浸透していくというのがMicrosoft社の強みです。例えばWindows Serverは,「Windows NT Server」として登場したころはUNIXに勝てないと言われていたのに,今やすっかり浸透しています。組み込み向けOSの「Windows CE」にしても,10年前に出てきたときは歯牙にもかけられない印象があったのに,PNDやスマートフォンなど,広く浸透しています。

 彼らにとって現在大きな課題は,携帯電話機向けOS「Windows Mobile」のてこ入れでしょう。本来は米Apple Inc.の「iPhone」のような利用者層を取り込むためのOSだったはずなのに,後れを取ってしまった感は否めません。タッチによるユーザー・インタフェースに関しても,iPhoneや米T-mobile社が発売した「Android」搭載機「G-1」に比べ,レスポンスの遅いところが気になります。このあたり,どう対応するのかに注目したいところです。

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