リレー競技とものづくり
オリンピックのネタが続いて恐縮ですが,私が今回のオリンピックで最も感心したのが,銅メダルを獲得した陸上の男子400mリレーです。私自身の事前の期待度とのギャップが大きかったということだけでなく,なんとなく,ものづくりとの関連に思い至ったからです。それは,選手4人の100m走のタイムを単純に「組み合わせた」結果ではなく,バトンの受け渡しという「擦り合わせ」部分が大きなポイントになったということです。
選手とモノを比較するのは失礼だとは思うのですが,リレー競技という「製品」を構成する個々の部品の性能は,くやしいことに世界のトップクラスというわけではないのが正直なところでしょう。そして,バトンの形状や重さ,それを受け渡す位置や範囲も決まっているのですから,一見,組み合わせ型の競技と思われても仕方がありません。きっと,多くの国が個々の選手の走力向上に主眼を置いて練習を繰り返したことでしょう。
そんな中で,日本チームはバトンの受け渡しというインタフェース部分に注目しました。前走者と次走者が最速となるよう,確実に受け渡す方法を練習したのです。腕の振りを邪魔しないよう,前走者がバトンを下から次走者に渡すというバトンパスの方法も,そんな中で確立していったようです。
インタフェース部分が決まっている組み合わせ型の製品では,とかく構成部品の性能だけに目がいきがちですが,インタフェース部分に改良の余地がまったくないわけではなりません。組み合わせたときに最高の状態となるよう,擦り合わせることの重要性を気付かせてくれた400mリレーでした。
加えて,日本チームのバトンパスの技能は,今回の4人の走者だけでなく長い間を掛けて高められていったことだと思います。この点でも,ものづくりにおける技能の伝承やノウハウの蓄積といったことを連想させます。今回は有力国のミスという偶然があったからという意見もあるかもしれません。しかし,それでも選手の胸に輝く素晴らしい銅メダルは,高い品質,信頼性の証と言い換えられるのだと,私は思います。




































