イカ釣り船に無駄使い、空からお見通しです
「おいおい、なんてMOTTAINAIことを」。イカの休漁が話題になり、人工衛星からの映像がテレビに出た。テレビでは「こんなに明るく見えるほどイカ釣り船が多い」ことが話題なのだが、気になったのは別のこと。人工衛星から漁火が見えている…。ということは、電灯から光が上に向かっている。宇宙を照らしてどうするんだ。
傘がない
一般に、電灯はフィラメントから全方向に光を出す。上を照らしてもしょうがないので、傘を付ける。上に向かう光は反射して下に向かう。役に立たない光が役立つ光になる。反射率が1ならば消費電力は半分になる。実際には1という素晴らしい鏡はなく、しかも汚れたり、錆びたりして反射率は下がるので、半分にはならないが、かなり減る。だから、世の中の電灯のほとんどには傘がある。
漁火は例外なのだろう。傘はない。海を照らしたいはずではないのか。
自動車業界でこんな無駄が見過ごされることはあり得ない。まず誰かが100円ショップでキャンプに使うアルミ箔の皿を買ってくるだろう。ハサミで中心まで切り込みを入れ、テープで張り付ける。張り付け方によって傘の深さは変わる。
すると、大問題が起こるだろう。台風で飛んだ、すぐ錆びる、洗いにくい、外れかかっているのを直そうとして海に落ちた、テープがもたない、観光協会が「風情がない」とクレームをつけた…。ところが自動車業界の“カイゼン心”では、このくらいの問題は織り込み済み。そのたびに手直し手直しを繰り返し、10年も20年もかけて、次第に定着させていくだろう。それが製造業のやり方だ。
特許になるようなものでなければ、知恵はみんなで共有する。「QCサークル全国大会」のような機会を通じ、傘は全国に広まるだろう。数が揃えば100円ショップで買うのでなく、特注もできる。すると、工夫の余地が広がる。汚れにくい形にしよう、イカが集まりやすい色にしよう、汚れにくいように光触媒をつけよう。そんなやり方が想像できる。
傘すらつけていないのだから、イカを釣っている人たちがこうしたカイゼンをしているようには見えない。海流の情報を集めて一番経済的なコースや速度を計算するとか(民間航空では常識だ。「海流」でなく「気流」だけど)、灯りを少しずつ暗くして、漁獲量への影響を調べるとか(塗装ラインでは常識だ。「漁獲量」でなく「塗装品質」だけど)、灯りの位置を下げて同じことをするとか、もっと下げて水中に沈めようとか(LEDならやりやすい)、そういう工夫をしていないのではないだろうか。「漁獲量」のバラつきが大きいという難しさはあるが、協力してサンプル数を大きく取れば、統計的事実は出てくるだろう。
電灯を一斉に暗くするという「上からの指示」による対策は7月末にもやるそうだ。自分だけ暗くすると、ほかの船にイカを取られるから「一斉」。だから指示が出るまでできないという。そんな調整をしているから、対策よりも、東京に出てきてこぶしを振り上げる方が先になる。
「助けてくれえ」と叫ぶ前に、自分でやることがあるはずだ。





















