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日経エレクトロニクス雑誌ブログ

駅の不満は解消されるか

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2008/06/27 09:00
吉田 勝=日経エレクトロニクス

 「えーい,改札の前にきてから定期を探すなよ」

 駅で自分の前を歩いていた人が自動改札の直前で立ち止まり,おもむろにカバンの中から非接触式IC乗車カード(首都圏ならPASMOやSuica,関西ならicocaなど)をごそごそと取り出す−−−そんな状況に眉をひそめたことのある方は,案外多いのではないでしょうか。改札機にカードをタッチするだけで通過できて,渋滞が解消できるというのがメリットなのに…。朝はみんな急いでいるんだから,なんであらかじめ出しておかないんだっ!

 ここで,時間に余裕を持って行動している本当の大人なら,寛大な心で笑みでも浮かべながら後ろで待ってあげるのでしょう。しかし,せっかちで人間ができていない私は,つい文句を言ってしまう。小心者なので,口には出さず心の中で思うだけですけど。

 だいたい,駅には不特定多数の人が集まるせいかしばしば不快な目にあいます。昨日なんて会社の最寄り駅で降りると,閉じた傘を肩にかざして歩いている輩が目の前に。先端がこっちを向いてるぞ。危ないじゃないか!ったく,今時の若い者は,ブツブツ…(持っていた新聞で後ろから傘を軽くはたいておきました)。

 閑話休題。
 さて,そんな不満(傘じゃなくて改札の方)を解消してくれるかもしれない技術があります。それが「人体通信」。人体をデータの通信媒体として利用する技術です(関連記事)。日経エレクトロニクス2008年5月19日号の「キーワード」でも取り上げていますし,2007年の「CEATEC JAPAN」では実演展示などもあって,Tech-Onの記事ほか,あちこちのブログでも触れていたので,ご存じの方は多いかと思います。

 IC乗車カードにこの技術を適用するとどうなるか。自動改札のリーダとカードがカラダを介して通信するので,リーダにはカードではなくて手をかざします。つまり手ぶらで改札をくぐれるようになるのです。カードはポケットやカバンに入れておけばオッケー。体とカードの間に絶縁体があっても極近距離なら通信が成立しますので,カバンから取り出すという動作は要りません。これでイライラも解消です。

 実は,この春までNTTドコモが人体通信のテレビCMを放映していました。「優しい未来」と題したそのCMでは,ポケットに携帯電話機を入れて出掛けた若者が,自宅のドアの施錠や自動改札の通過,自動販売機での買い物などを機器に手を触れるだけで済ませてしまいます。もちろん,その携帯電話機は電子マネー機能が搭載され,人体通信が可能ということです。

 ただ,CMの題名が示す通り,それは少し未来のお話。このほかにも,クルマのキーレス・エントリー・システムや入退室管理用のセキュリティー・カード,ウエアラブル機器などへの適用が期待されていますが,本格的な利用には至っていません。セキュリティー・カードは実用化のメドが立っていますが,電子マネーへの適用などは技術課題もありますし,改札機やリーダーなどのインフラ整備が必須なので,普及するとしてもかなり時間がかかるでしょう。

 例えば,NTTエレクトロニクスは評価サンプルの出荷を始めています(関連記事)。

 とはいえ,このユニークな技術は,いろいろな可能性を秘めている気がします。開発が始まって間もないので,これから思いも寄らぬ使い方が出てくるかもしれません。今後の技術開発と市場からのユニークな提案に期待したいところです。

 日経エレクトロニクス2008年6月30日号の解説では,この人体通信技術を取り上げました。ご興味がございましたらご一読いただけると幸甚です。

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