革新技術で「微細化限界論」に挑む
「エンジン制御向けのLSIは90nm世代,マルチメディア用LSIでも40nm世代くらいが微細化の限界だと思う」(トヨタ自動車)。いわゆる「微細化限界論」が半導体ユーザーの口から積極的に飛び出し始めています(Tech-On!記事1)。
いま最先端の微細化技術の研究開発現場では,「少なくともデバイス技術的には32nm世代への微細化のメドが付いた。32nm世代に微細化することで45nm世代よりも性能を高められ,かつチップ面積を小さくできる」(国内大手論理LSIメーカー)ことが分かってきた状況です。その先の22nm世代についても「デバイス構造も含めて候補を検討中の段階。おそらく技術的には微細化の有効性は保たれるだろう」(同社)とのことです。
むしろ,半導体業界が抱える根本的な問題は,「微細化とともに投資費用が急騰し続けること」(クオンタムリープ 代表取締役の出井 伸之氏)にあります。90nm世代のLSIを量産し始めた2004年から,22nm世代の量産に入る2016年の間に,「先端プロセス工場の設備投資額は年平均10%,先端プロセスの研究開発費は同11%のペースでそれぞれ増え続ける」(出井氏)懸念が高まっています。この結果,微細化してもほとんどのユーザーにとって,コストが下がらないという事態が起こりかねないのです。
半導体業界の成長はこれまで微細化が支えてきたことは間違いありません。このように成長の原動力を担ってきた微細化の「先行き不透明感」に対して,半導体業界が手をこまぬいて見ているわけではありません。総力を結集して,問題解決に当たろうとしています。その象徴と言えるのが,2008年3月10日に発表された,米IBM Corp.と日立製作所による32nm世代以降の最先端半導体プロセスの共同研究の実施です(Tech-On!記事2)。両社は,「研究能力や知的財産権を相互に持ち寄ることで,最先端半導体プロセスの研究に必要なコストを大幅に削減する」(IBM社)としています。IBM社が得意とする最先端CMOS技術の研究能力と,日立製作所が有する半導体物性や分析技術に関する豊富なノウハウなどを組み合わせて,半導体の技術革新のペースを上げることを目指す構えです。
IBM社はここ数年,最先端半導体の研究開発を,東芝やソニー,米Advanced Micro Devices,Inc.などと進めてきました。従来の技術開発アライアンスの枠組みから一歩踏み出したIBM社と日立製作所の共同研究グループの今後に大いに期待したいと考えています


















