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製紙業界のエコ偽装はどこまで広がる

2008/01/18 18:57
高田 憲一=日経ものづくり
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 数年前に製紙業界の環境対策を取材したことがあります。どの製紙メーカーも「森林乱伐防止や古紙リサイクルは本業に組み込まれており,こうした取り組みをしっかりやらないと事業存続にかかわる重大な事態になる。このため,環境対策は最重要の経営課題の一つである」という内容を明快に語りました。

 また,紙の製造が森林破壊の原因という見方に対しては,少なくとも日本メーカーに関する限りは根拠のない誤解と強調し,その理由を定量データに基づいてアピールしていました。「紙の原料になる木材は,植林樹や持続可能性を確保した森林で伐採量を管理しながら切り出している。製紙業界は,高度経済成長期に公害が深刻な社会問題になった際,製紙工程の廃棄物がヘドロになって海を汚染すると激しく非難された。この経験を踏まえ,現在の環境対策は世界トップレベルになっている」とのことでした。

 ところが業界全体を巻き込むエコ偽装が発覚しました。最初に日本製紙の「年賀再生紙はがき」の古紙配合率が表示を大きく下回っていることが明らかになり,その後,コピー用紙やノート用紙などでの偽装も分かりました。日本製紙では中村雅知社長の辞任問題に発展しています。さらに,年賀再生紙はがきに関しては,日本製紙のほか,王子製紙や大王製紙,三菱製紙,北越製紙など5社の全納入メーカーが偽装していた事実も出てきて,1社の問題ではなく業界全体が偽装体質に染まっていることを強く印象付けました。2007年1月18日には王子製紙の篠田和久社長が記者会見を開き,コピー用紙やチラシ用紙,封筒用紙などでも古紙配合率を改ざんしていたことを認めています。

 この偽装は,どこまで広がるのでしょうか。これまでの偽装は,用紙という製品に関してですが,製紙メーカーはもう一つ大きな環境負荷要因を抱えています。もちろん森林のことです。これまで強調していた持続可能な森林経営は,本当なのでしょうか。用紙でのエコ偽装発覚の経緯を考えると,どうしても疑問が残ります。原料のパルプの大半は海外の森林の木材が原料なので,ここでエコ偽装があったら,国際問題に発展するのは必至です。しかも南北問題に関係する可能性もあります。

 それにしても,製紙業界が主張してきた世界トップレベルの環境対策とは何だったのでしょうか。公害問題から何を学んだのでしょうか。なんとも後味が悪い“事件”です。

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