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アナログ停波で日本もケーブルテレビ王国に

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2007/12/04 09:40
野澤 哲生=日経エレクトロニクス

 2007年12月3日号の「アナログ停波に死角あり」という特集の取材の中で,意外な変化に気が付きました。それは,日本のケーブルテレビの加入世帯が大幅に増えていることです。総務省の調査によれば,ケーブルテレビの加入世帯数は,2007年3月末には約2870万世帯に達しており,日本でテレビを視聴する約5000万世帯の過半数を上回っています。これは2000年の約1871万世帯から,年率5〜13%という高率で増加を続けてきた結果の数字です。

 数年前まで,日本は米国に比べてケーブルテレビの加入率が低いと言われ続けていました。しかもあまり良い評判を聞きませんでした。中小の事業者が多くて資金力が弱く,タコツボのように地域ごとにすみ分けているために競争意識に欠ける,云々――。

 ただし,それも過去の話になりそうです。ジャパンケーブルネット(JCN)やジュピターテレコム(J-COM)など「MSO(統括運営会社)」と呼ばれる大手事業者への合併や系列化が進み,地上デジタル放送の受信システムを共有するなどして経営基盤が多少とも強化されつつあるからです。ブロードバンドの急進も一種のカンフル剤になったようです。ケーブルテレビ回線をインターネット接続に使うサービスが急増したからです。実際,ADSLのユーザーが急増した2001年度は,ケーブルテレビの加入数も約350万世帯の増とこれまでにない増加数でした。

 過去数年の年間130万〜140万世帯という増加の勢いが今も続いているとすると,現在のケーブルテレビの加入数は3000万世帯に迫る状況になっているはずです。つまり,およそ3世帯中2世帯はケーブルテレビ経由で主要なテレビ放送を見ていることになります。一方,米国のケーブルテレビの世帯普及率は約7割で,日本はケーブルテレビの普及率で米国に並びつつあるのです。

 3年半後の地上アナログ放送の停止(アナログ停波)は,この傾向に一層拍車をかけそうです。ただし,ここで大きく増える可能性が高いのは従来の同軸ケーブルを利用したケーブルテレビというより,「IP(internet protocol)版ケーブルテレビ」。つまり,NTTグループのNGN(次世代ネットワーク)を利用した地デジの「IP同時再送信」による放送の受信者です。NTTグループの事業プラン次第では,最大2000万世帯がこれを利用可能になります。

 アナログ停波に伴い,テレビCMなどでは,テレビ受像機を地デジ対応にすることを訴えています。しかし,従来のVHFアンテナではなく,UHFアンテナを設置し,しかも受信方向を正しく調整する必要があることを説明しているものを見たことはまだありません。このままでは,いざアナログ停波,となった時に大きな混乱が起こるのは避けられそうにありません。その中で,アンテナに追加出費や工事をするぐらいなら,IP同時再送信を視聴したほう良いというユーザーは少なくないと思われます。こうして,アナログ停波後のテレビ放送の受信形態は,総務省が当初思い描いた青写真とは,かなり違った姿になるのではないでしょうか。

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