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iPhoneを見たらわかること

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2007/07/25 09:25
山田 剛良(日経エレクトロニクス)

 7月31日に開催するセミナー「iPhoneの衝撃 〜分解・分析から見えた携帯,部品,半導体への影響〜」の準備のために,講師をお願いした方と打ち合わせしたり,分解したiPhoneを国内の技術者や専門家に見てもらったり,国内のiPhoneユーザー(という人が既にいるんですよ)に意見を聞いたりしています。

 興味深いのは,会う人会う人が異口同音に「日本メーカーが同じようなモノを作るのは難しいのではないか」という感想を口にすることです。ただし,それぞれの方が挙げる「作れない」理由は少しずつ違います。

 MacintoshやiPodを生み出したApple社の伝統やブランド力。機能を割り切る「マイナスのデザイン」を可能にする組織。同社がこだわってきたユーザー・インタフェース技術の蓄積の差。それらを支える優秀なソフト,ハードの技術者。そして同社を率いるCEOのSteve Jobs氏の存在,そのセンスや交渉力,カリスマ性。あとはカリフォルニアの青い空…。確かにどれも日本のメーカーには無いものばかりです。確かに,これほど無いモノだらけでは手も足も出ないかもしれない。

 前回のセミナー宣伝ブログでも読者の方からも,こんなコメントをいただきました。


(セミナーには)あまり意味を感じません。なぜなら最近のヒット作品は任天堂のDSを見ても分るとおりシンプルな構造で汎用部品を多用して安く作っています。ヒットの根源は「消費者が真に楽しめる」ための,ソフトや使い勝手や新しい提案です。革新的な技術や実装など純粋に技術的なことが市場売上に直結するものであれば分解は非常に興味ありますが,セミナーにしてまで分解に意義がある内容に思えません。


 コメントを読ませていただいて「いや全くその通りだよな」と内心思ったのは内緒ですが,実は私がお話しを聞いた中でもこうした意見はありました。iPhoneの魅力の中心はハードウエアの技術ではなくてソフトウエア,ひいては製品企画そのものにある。ハードウエアの技術そのものにはあまり見るべき部分はない,というものです。

 確かにiPhoneで使われている部品の多くは汎用品です。しかし実は中身を詳しく解析すると,その汎用部品すらうまく使いこなせていない部分もけっこう見受けられます。分解したiPhoneを解析した技術者からは「かなりムリして作っている。部品の使いこなしはまだまだ日本の携帯電話機メーカーの方が上ですよ」というコメントも聞きました。

 一方で,タッチパネル周りなど肝となる部分はコストを掛けて非常に丁寧に作っています。全体の部品レイアウトなどからは,使い心地やデザインのために,部材や組み立てコストの上昇にあえて目をつぶったと見受けられる部分もあります。

 つまり,Apple社も決して完全ではないのです。彼らのうまいのは,注力する部分とそうでない部分のメリハリがはっきりしているところ。それができるのは,必要な部分だけに最大限の力を入れられるように,最初に製品のコンセプトを絞り込んだり,それに応じた機能の取捨選択や優先順位の設定を徹底しているからだと思います。

 ただし私は多くの人が言うように,日本のメーカーにはそうした製品が作れない,とは思いません。例えば「Wii」。作ったのはどこの国の会社でしたっけ? 一方で,Apple社や任天堂がヒットを連発できるのは偶然ではない。また彼らは決して安い汎用部品で「安物」を作っているわけでもなく,ソフトウエアの技術だけで製品を作っているわけでもないと思っています。

 我彼の差は,ちょっとしたコツに「気付いている」かどうかの差に過ぎないという気がします。「じゃぁそのコツって何よ」と聞かれると,まだうまく言葉にできないのですが(すみません),例えば機能の優先順位を付ける時の考え方が違うとかそういう部分です。それはiPhoneの現物を見れば,日本の技術者にも感じて頂けるのではないかと思っています。今回のセミナーを企画した意図というか想いは,実はその辺りにあります。日本の技術者ですからやっぱり「現物」を見て判断してほしいし,そういう機会を作るのはNEの存在意義の一つかなと思った次第です。

 あ,そうそう,最後にセミナーの受講料の件で一言。読者と一般で受講料に1万9000円も差を付けるとはけしからん,と言う意見をある方からいただいたのですが,それは誤解です。但し書きにもあるように,一般料金での申し込みには「日経エレクトロニクス(1年間・27冊)」の購読が付きます。要するに差額の1万9000円はNEの1年分の購読料です。この機会にぜひ弊誌の読者になって下さい,という我々からのお願いなのです。前回のブログでも書いたように,今回のセミナーはあくまで「NEの読者の方向け」に企画したものですから。

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Tech-On!ユーザーからのコメント

■興味深い点は「部品の使い方に無理・無駄が多く見られるが,それはコンセプトを最優先したためではないか?」と言う仮説です。
私の周囲の例で恐縮ですが,日本国内の開発部門では日本人技術者達の前向きな“こだわり”や“常識”によってコンセプトが殺され,企画そのものが空中分解するようなケースが度々起こります。
逆に米国の開発部門ではボスがコンセプトを定めた後は,それに異を唱える者は居ません。無理があっても何とか形にします。
米国式の場合,後で不具合が出てくるケースが多いため「それ見た事か」と日本人技術者は一斉に批判を浴びせ,そして文句を言いながら尻拭いをします。しかし業績を認められるのは挑戦者達です。
日本にもコンセプト重視のベンチャー型企業は多くあるので一概には言えませんが,日本と米国のモノづくり文化の違いを感じさせる仮説だと思いました。

(2007/07/25)

■なるほど,雑誌の講読がつくのですか。
良い企画ですね。
がんばってください。

(2007/07/25)
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