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次世代テレビのゴールはVODでいいのか?

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2007/03/12 09:58
内田 泰(日経エレクトロニクス)

 「開発コンセプトは『だら見』です」。筆者の耳にいきなり聞き慣れない言葉が入ってきました。3月12日号の特集(「テレビ+YouTubeの未来」)に向けて,インターネット系ベンチャー企業のはてなを取材したときのことです。

 取材対象は,同社が2007年2月に発表した「Rimo」。これは動画投稿サイト「YouTube」に掲載された人気の動画を,Rimoのサイトにアクセスするだけで連続的に再生する映像配信サービスで,ソファーに寝転んでまるでテレビをだらだら見ているかような感覚で楽しめるものを目指したといいます。「だら見」とはそういうことです。

 Rimoは,YouTubeが開発者コミュニティに向けて公開しているAPIを利用し,ページ・ビューが多い人気動画のプレイリストをはてなのサーバー上で作成します。さらにYouTubeでのページ・ビューが多くても,最初の30秒以内で再生がスキップされることが多い動画は「本当はあまり面白くない」と判断して,プレイリストを修正する機能を持ちます。こうした仕組みと,非常にシンプルな使い勝手が評判を呼び,公開後10日間で30万人以上がRimoを利用したそうです。

いずれは開かれた世界へ行く

 筆者がテレビの将来をテーマにした特集記事で,Rimoのような新手の映像配信サービスを紹介した理由はこうです。インターネット・サービスを取り込んでいくのが今後のテレビ開発の必然となるなか,将来はこうしたインターネットの「開かれた世界」の映像配信サービスが無視できない存在になっていくと考えたからです。

 YouTubeに対しては,「違法投稿された動画がなくなれば人気も落ちるだろう」という見方もあります。確かに今のブームは沈静化するかもしれませんが,Rimoはひとつの可能性を示したと思います。例えば,動画投稿サイトのAPI公開が一般化すれば,開発者が利用できる素材は膨大になりますし,玉石混交の動画の中から「玉」だけを精度よく取り出せる技術を磨けば,サービスの質が向上します。今後は,個々のユーザーの嗜好に合わせてプレイリストを編集する映像配信サービスなども出てくるでしょう。

 一方,今回取材でお会いした国内の家電メーカー関係者の多くは,こうしたサービスを「パソコンの世界のもの」と位置づけています。リビング・ルームに置くテレビ向けには,インターネットといっても「安心・安全」のために「閉じた世界」を作り,そのゴールとしてHDTV映像によるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスの提供を2008年以降に検討しています。

 テレビで直接受けられるVODサービスは一つの解でしょうが,パソコンを日常的に使っているユーザーは果たしてそれだけで満足するでしょうか。テレビ向けのVODは,普及するとしてもおそらく4〜5年はかかるでしょう。その間にも,Rimoのような新しいタイプの映像配信サービスは次々に登場し,VODよりもそちらに魅力を感じるユーザーも数多く出てくるかもしれません。

 インターネットの世界で主導権を握っているのはユーザーです。携帯電話向けインターネット・サービスが「閉じた世界」から「開かれた世界」へ移行したように,テレビ向けサービスもやがて「開かれた世界」へと移行するのではないか,と筆者は予想しています。

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