素晴らしいGUIをなぜ売りにしない
昨日行われたイー・モバイルの発表会に出かけてきました(Tech-On!関連記事)。イー・モバイルはADSLサービスを手掛けるイー・アクセスの子会社で,かねてから1.7GHz帯での携帯電話事業参入を表明していました。昨日の発表は,2007年3月31日から始めるサービスの概要と,それに対応した端末のお披露目でした。発表会の目玉となったのは,シャープ製のPDA型端末「EM・ONE」の公開です。
「普通の携帯電話機はもちろん,AppleのiPhoneなんかよりずっといい」と壇上の同社代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏が豪語するだけあって,確かにEM・ONEのハードウエアは完成度が高そうでした。開発を担当したのはシャープ通信融合端末事業部。もともとPDAのザウルスを手掛けており,ウイルコムが発売して大ヒットした「W-ZERO3シリーズ」を作ったことで知られる部門です。
マイクロプロセサに米Marvell Technology Group LTD.製「Marvell PXA270」,OSに米Microsoft Corp.の「Windows Mobile 5.0」を採用し,画面の下にスライド式のQWERTYキーボード部を納めるという構成はW-ZERO3を彷彿させます。ただし,キーボード部を横にスライドさせて,ポインティング・デバイスだけを使えるようにする機構を新たに加えています。この辺り,W-ZERO3を元に,使い勝手を洗練させたという印象を受けました。
もう一つ,発表会の壇上で千本氏が自信満々に紹介したのが,イー・モバイル向けにヤッパが開発した3次元表現を使ったGUI「3D Box」です。会場に駆けつけたヤッパ代表取締役社長である伊藤正裕氏によると,「3次元表現と連想を組み合わせて直感的に使えるように工夫した」という代物。具体的には,EM・ONEから使えるサービスを分類別に「引き出し」に整理し,引き出しを選んでクリックすることで目的のサービスを選ぶというもの。開発にはフランス人デザイナーが参加したそうですが,なるほど直感的で,3次元表現がギミックではなく使われています。
一つ気になったのがこの3D Boxの扱いです。発表会場では3D Boxをイー・モバイルが提供予定のコンテンツ・サービスを選択するためのGUIとしてデモされていましたが,実は「Word Mobile」などEM・ONEに組み込まれたソフトウエアの選択にも使えます。つまり,EM・ONE自体の「顔」に成り得るように作られています。
ところが,会場で見せた実機や報道向けに配布された製品写真を見る限り,起動後のEM・ONEが表示する画面は,Windows Mobileで標準的に使われる画面の右下にイー・モバイルのロゴを加えたもののようです。そのため,パッと見た限りでは「Windows Mobile採用のPDAなんだな」という印象の方が先に立ちます。
せっかく良いGUIを作ったのに,製品の顔として使わないのはどうなのでしょうか。起動時に3D Boxを表示するようにしておけば,ずいぶん印象が違うように思うのですが。


















