地球温暖化+6.4℃と,新車からのCO270%削減
パリで開かれた国連の会議で2月2日,地球温暖化に関する報告書が発表され,最悪の場合,21世紀末にかけて地球の平均温度が6.4℃上昇するという予測が,新聞やテレビで一斉に報道されました。ちなみに,ここでいう最悪の場合とは,現状のように化石燃料を主なエネルギー源とし,高度経済成長が続く場合です。先進国の経済が安定成長し,新興国が急成長を続ける現在の状況,つまりビジネス・アズ・ユージュアルはこの最悪のケースに向かって進んでいることを意味します。
そのほか今年に入って,京都議定書の立役者であるゴア元米副大統領が地球温暖化の危機的状況を訴える映画「不都合な真実」を引っさげて来日したり,北半球の記録的な暖冬が話題になったりと,地球温暖化が大いに注目されました。真冬のニューヨークを半そででジョギングする女性の姿は印象的でした。
しかし,です。温暖化問題を伝える多くの報道には,「可能性が高い」だとか,「と見られている」あるいは「と専門家は指摘する」といったような“但し書き”が付いていて,「本当のところどうなっているの?」という,すっきりしない気持ちが残るのが正直なところでした。
この観点から見ると,2月2日発表された報告書は大きく踏み込んでいます。実は,最悪6.4℃の上昇という予測自体は,2001年に発表された前回の報告書と大きく変わっていません。最大の注目点は,これまで「(人間活動である)可能性が高い」と曖昧にしていた温暖化の原因を,今回の報告書では「(原因は人間活動と)ほぼ断定」したことです。2月3日付の日本経済新聞朝刊は「温暖化,負の連鎖で加速,今世紀末,最大6.4℃上昇――『人間活動が原因』」と伝えました。この報告書の内容には,京都議定書から離脱した米国も同意しています。
報告書は,各国政府から推薦された多数の科学者が参加するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)がまとめたものです。正確には「IPCC第4次評価報告書」と呼ばれ,報告書の作成には「130を超える国の450人の代表執筆者」「800人を超える執筆協力者」「2500人の査読者」が専門家として参加しています。そして,この報告書の内容は,具体的な温暖化対策を話し合う国際交渉の場で最も基本的な資料になります。つまり,温暖化問題を解決するには,人間活動の影響を抑えなければならないという前提で今後の議論が進むはずです。
では,こうした前提は,製造業にどんな影響が与えるのでしょうか。これには日産自動車が昨年12月に明らかにしたCO2削減の“長期目標”が参考になります。日産は3次報告書を分析してクルマに求められるCO2削減量を試算し,その結果を踏まえて2050年に1台当たりのクルマの製造や走行で排出するCO2を70%削減する長期目標を打ち出したのです。
日産COO(最高執行責任者)の志賀俊之氏は「技術開発は,この削減量を念頭に進める。まず今後の10年,燃費改善などでCO2排出量を40%削減する」と話しています。70%のCO2削減は,クルマづくりを根本から変えるでしょう。抜本的な温暖化対策を実施する場合,ほかに製品でも目がくらむような省エネやCO2削減が求められることになります。対岸の火事では済まされません。
























