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開けて分かった任天堂「Wii」の気合い

開けて分かった
任天堂「Wii」の気合い

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2006/11/20 10:00
山田 剛良(日経エレクトロニクス)

 ここ2週間ほど,日経エレクトロニクス編集部は大忙しです(まだ終わってないので現在形)。11月11日には日本でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3(PS3)」が,そして11月19日には米国で任天堂の「Wii」が発売されたからです。いずれも「次世代」を担う注目のゲーム機です。編集部としては,いち早く入手してその全貌を掴み,読者の皆さんにレポートしなければなりません。

 いち早くレポートするには製品の入手の手はずを整えたり,分解に立ち会ってもらい,解析のお手伝いをお願いする技術者の皆さんに声を掛けたり,といった準備が必要です。製品入手後にすぐ分解して,内容を解析し,Tech-On!や本誌に掲載する記事を書かねばなりません。

 先週のPS3に続き(Tech-On!関連記事1),Wiiも何とか入手に成功しました。今朝方,まずは分解過程をまとめた記事をTech-On!にアップし終え,一息ついたところです(Tech-On!関連記事2Tech-On!関連記事3Tech-On!関連記事4Tech-On!関連記事5分解過程の動画)。製品の詳しい解析はまだ始まったばかりですが,Wiiを分解して感じた現時点の感想をお伝えしたいと思います。

 Wiiの解析をお願いしている技術者の皆さんから,異口同音に出てきたのは,設計の完成度の高さへの評価です。Tech-On!読者の皆さんならご存じかと思いますが,デジタル家電の新製品では,どこかしらこなれていない設計が残るのが普通です。ところがWiiにはこうした部分がほとんど見あたらないのです。Wiiのメイン基板を見た技術者のだれもが,「非常に時間を掛けて丁寧に設計されている」と,その完成度に驚きます。

 Wiiのメイン基板を見る(Tech-On!関連記事4)と,一見して非常にシンプルに作られているのがお分かりになるかと思います。目立つ部品は二つのカスタムLSI――カナダATI Technologies Inc.設計のWii専用GPU「HOLLYWOOD」と米IBM設計の専用CPU「BROADWAY」くらい。部品点数が非常に少なく,すっきりしており,いかにも低コストで作れそうです。

 こうした印象を受ける理由の一つは,チップ抵抗やコンデンサのような受動部品の数が少ないからです。Wiiのような高速のマイクロプロセサを使う製品は例外なく,電磁ノイズ対策のためにコンデンサや抵抗,フェライトビーズといった部品を配置しますが,設計がこなれていないと,こうした部品がどうしても多くなってしまい,ごちゃごちゃした印象を与える基板になりがちだと言います。

 Wiiはこうした受動部品の配置が的確で無駄がない。一方で,単に低コストだけを狙ったわけではなく,手を掛けるべき部分には思い切って,通常では考えられないほどコストを掛け,贅沢な対策を施しているそうです。専門の技術者によると,かなり時間を掛けて丁寧に設計しないとこのようなメリハリの効いた設計はできないと言います。これだけ設計の完成度が高ければ,製品の信頼性は相当,高そうです。

 日経エレクトロニクスでは11月20日号で,PS3の分解・解析記事「開けて分かったPS3のすべて」を掲載しました。そこではPS3の設計から見てとれる,新技術,高付加価値技術へのこだわりや,それを実現するための苦心,設計の完成度の高さを明らかにしました。

 PS3とは対照的に,Wiiはプロセサの処理能力といったスペックにこだわらないと任天堂は公言しています(Tech-On!に掲載した任天堂 岩田社長のインタビュー)。ゲームの楽しさ,家庭の全員が楽しめる親しみやすさを狙って作られているからです。このように目指す方向性こそ異なりますが,二つの次世代ゲーム機は「最初から設計の完成度が高い」という点では共通しているように思います。これから3年,5年と売り続けていくものですから,これくらい手を掛けるのは当たり前かも知れません。ですが,本気を出したときにこそ,底力は分かります。Wiiの設計からは任天堂がこれに掛ける気合いを感じました。

 Wiiの詳しい分解・解説記事は日経エレクトロニクスの次号,12月4日号でお届けする予定です。ということで,大忙しはまだまだ続きます。記事は現在,鋭意執筆中ですので,お楽しみに。

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